ベジータ王について語ってみた(2018年改訂) | 極星十字相殺拳

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極星十字相殺拳-111030_1723~010001.jpg 惑星ベジータの三代目の王。その昔、初代目はツフル人の住むプラント星に移住。しばらくツフル人と共存してきたが、ある満月の夜に他のサイヤ人とともに大猿と化し、ツフル人を襲撃。絶滅させた。その後、プラント星を惑星ベジータと改名し自身は王となった。知的なツフル人を絶滅させたため文明の進化ができなくなりコルド大王と手を組むようになったが、いつの間にか主従関係のようになった現状に嫌気がさし、フリーザにとって変わろうとするが一撃で倒された。(CV:銀河万丈)


原作では一コマも登場していないが、よく顔は知られているであろうキャラ。声優はダンディな御声の銀河万丈氏。南斗の帝王サウザーの声の人がサイヤ人の王も演じておられた。

原作ではフリーザが「惑星ベジータに攻め込んだときに王と闘った」と言っていたが、実は勝負を挑んだのはベジータ王のほうである。Zではベジータ王がフリーザに挑戦して敗北し、惑星ベジータ消滅の経過が詳細に描かれている。


ベジータ王は、フリーザ編の他にも、ブロリー第1作目でブロリー抹殺を命じその助命嘆願をしたパラガスを半殺しにしたり、OVA「サイヤ人絶滅計画」やGTのベビーの回想にもツフル人を抹殺した張本人として、最近では劇場版「神と神」で破壊神ビルスに足蹴にされる形で、劇場版「ブロリー」でも前半に登場している。そのため、サイヤ人を語るにはかかせない重要人物なのだが、描かれた王としての活躍はフリーザに一撃で殺されるという悲惨なものだった。フリーザの宇宙船の中での戦闘でも、戦闘力1000程度と推測される兵士たちに抑えつけられてるのも哀しい。


その他、Zの次元世界では赤子の時点で戦闘力10000のブロリーを抹殺しようとしたり、超の次元世界では過酷な星に飛ばしたり、報告にきた部下を問答無用で殺したり、まさに絶対王政における暴君の見本のような王である。フリーザが理想の上司なんて言われるのはこの人との対比からかもしれない。実際はフリーザも1000人の部下を用済みとして処刑したりしてるんですけどね。


どうも「天才的策略家」というのは巧みな政治力が評価されてのことのように思える。初代の王は、あの原始的で野蛮なサイヤ人を自分一人で統率し、自分たちより遥かに優れた科学力をもつツフル人を滅ぼした上にその文化や科学技術等を吸収し、王として君臨したのだからその政治力は凄い。何せ負けず嫌いなサイヤ人だ。王に素直に従う連中ばかりではなく、むしろ反抗する連中もいただろう。そんな連中を圧倒的な戦闘力で叩き潰し、恐怖による絶対王政を確立させたと思われる。

コルド大王と手を結んでいたのがこの三代目からなのか、初代からなのかは不明だが、勿論戦闘意欲を満たしたいというのが一番の目的だっただろうが、サイヤ人文明と経済の発展をも見越してのことかもしれない。


少なくとも劇中では三代目になってもベジータ王に対し反感をもっている部下は見受けられない。
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パラガスは例外として、それ以外のサイヤ人は「フリーザを倒す」という無茶すぎる命令にすら躊躇うことなく従わせるほどの忠誠心を見せており、王に対してある意味心酔しているようにすら感じさせる。これが王ゆえのカリスマ性だろう。「退くことはできぬ、もし退けばこのベジータ王による確実なる死!」という状況だったかもしれないが。

しかし、同じ頃にバーダックはベジータ王と同様サイヤ人たちにフリーザ打倒を呼びかけるも、大笑いされ相手にされなかった。ここに王と一介の戦士の違いがある。もしバーダックが仲間を引き連れていけたとしても、同じ結果になっていたとは思うが・・


ところで、この人は本当に勝算があったのだろうか。フリーザに挑むこと自体が自殺行為というのは、まあ百歩譲って置いておこう。しかしまず宇宙船に乗り込んでいくことが間違いではなかろうか。

極星十字相殺拳-111030_1722~020001.jpg 極星十字相殺拳-111030_1722~010001.jpg

①地の利がない。

フリーザがどの部屋にいるかもわからないという時点でもう精神的余裕がない。探している間に兵士たちに囲まれ無駄なエネルギーを消費してしまう。部下も消耗するだろう。


②サイヤ人は宇宙空間では生きられない。

仮に徒党を組んだサイヤ人が驚くべき力を発揮しても、フリーザに宇宙空間へ出られたらもう闘えない。それ以前にもし戦闘中に窓が割れたら、真空の宇宙空間に放り出されサイヤ全員死あるのみである。


③大猿に変身できない。

これが一番のデメリット。あんな密室では仮に満月としても窓から覗き込まないと変身できないし、仮に変身しても宇宙船をぶち破って宇宙空間に出てしまって死あるのみである。

実際、サイヤ人の何が脅威かというと「大猿になると戦闘力が10倍になること」だ。ザーボンが「徒党を組んだらやっかい」と言っていたのは、まさにこれを恐れてのことであり、例えば戦闘力2300ほどのサイヤ人でも、大猿になれば23000。もうザーボンやドドリアより強くなってしまう。そんな連中に徒党を組んで襲ってこられたらそら誰でもビビるだろう。そんなとっておきの切り札があるのに、わざわざ自分から使えない場所で闘ってしまった。戦闘力3000~4000と推測されるエリート戦士たちを引き連れているにもかかわらず。


フリーザ憎しの私的感情で部下たちを炊きつけ、自分たちに有利な点は何もないのに相手の城にろくな作戦ももたず突っ込んでいって一撃で敗北。そしてこれが「やっぱりサイヤ人は滅ぼしておく必要がある」とフリーザに認識させるきっかけとなり、惑星ベジータ消滅の引き金となった。

最悪すぎる。

ベジータの言う「王の力などガキのころに超えていた」のを事実としたらベジータ王の戦闘力は18000未満・・・「ガキのころ」というのを考慮したら下手するともっと低い。

ドドリア一人で返り討ちにされるぞ。


部下も誰か「ザーボンとドドリアはどうするんですか?」と一人ぐらい聞くヤツおらんかったのか。100%勝機ないよ。フリーザは「あんなバカなことをしなければサイヤ人は滅びずにすんだんです」と言っていたが、まさにそのとおりとしかいいようがない。ビルス様に足蹴にされても堪えられるほどの我慢強さがあるなら、もう少し冷静になってほしかったところだが・・

しかしフリーザは宇宙の生物で、ビルス様は神だ。ベジータ王も破壊神ビルスにフリーザ以上の恐怖を肌で感じ、逆らえば星ごとサイヤ人そのものが消滅させられると危惧し、あれだけの恥辱に耐えたのかもしれない。


だが、ブロリーを抹殺しようとしたのはいただけない。フリーザ打倒の最終兵器としてぶつけられるよう温存しておけばよかったのだ。それならパラガスも納得したのではないか。
まずベジータ王はフリーザが惑星ベジータを訪問したところを狙うべきだった。酒場で飲んだくれてる暇な奴らもいたのだから、そいつらも炊きつけて、全員でかかるべきだった。惑星ベジータは8年に一度しか満月が現れないが、パワーボールを使えば満月なしでも変身できる。まさか王がパワーボールを使えないなんてことはないだろう。人工満月を作り、惑星ベジータにいるサイヤ人全員が変身して大暴れすれば、そうとうフリーザを焦らすことができたと思う。少なくとも戦闘力1万超えは間違いないベジータ王が大猿になれば戦闘力は10万を超え、ギニュー以外のフリーザ配下なら叩き潰せる。

まあ最後は星ごと吹っ飛ばされてTHE ENDだろうが・・やっぱり勝ち目なかったね。


そういえば、サイヤ人には親子の情愛という価値観はないと半ば常識化しており、各サイヤ人からも


ターレス「子が親を殺す、それがサイヤ人だ!」

ベジータ「気に入らない奴は誰であろうと殺すだけだ、親だの子だのおかしなことを言っているのは貴様ら地球人だけだ」

パラガス「自分の子どもに殺されるとは・・これもサイヤ人の定めか・・!」

バーダック「戦闘力たったの2か・・クズが!」


という主張がされており我々もそう思っていたが、このベジータ王とパラガスは子に対する愛情を持っていたと思う。Zでは、超サイヤ人になかなかなれず苦悩するベジータの回想で、ベジータ王がベジータを激励するシーンがある。


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「王子よ!お前は素質、生まれ、全てをとっても超エリートのサイヤ人だ!お前ならきっと宇宙一のサイヤ人になれる!いやもしかすると伝説の超サイヤ人にだってなれるかもしれぬぞ!!」


なんや、むっちゃ良いお父さんやんか。


思えばDBで本当に息子のことをどうでもいいと切り捨てるキャラっていないな。パラガスなんてサイヤ人とは思えぬほど息子に愛情あるし。コルド大王ですらフリーザの行方を探しに出向いて救出してたし。バーダックも超の世界では悟空の身を案じ、「絶対に生き延びるんだぞ」と地球へ逃していた。

そう思うと闘いと殺戮と破壊を楽しんでいたターレスとZのブロリーが一番サイヤ人の特徴を発揮していたキャラだと今更ながら思う。


そういえばDBZ本編第20話で界王様が「惑星ベジータにも神がおった。流石にサイヤ人の悪行さにたまりかね、巨大隕石を自らの隕石で引き寄せ惑星ベジータに衝突させ、爆発させてしまったのじゃ」と言っており、従来までこれは界王様の捏造だのアニオリゆえの矛盾等言われてきて俺もずっとそう思っていたが、これは破壊神ビルスのことを示唆していたと考えれば矛盾はないのではないか。


何せビルス様は、


「ボクが寝ている間、フリーザは惑星ベジータを破壊してくれたのかなあ?」

「何せあの星の連中はろくでなしばっかりだったからねー、特にベジータ王はケチだった」

「ボクが破壊してもよかったんだけど、遠いじゃない?」


と起きて早々に言っており、惑星ベジータをいつ破壊してもおかしくない心境だった。界王様はフリーザが惑星ベジータを破壊したことを知らず消滅した結果だけを知り、ビルス様が破壊したのだと思い込んでいたのではないだろうか。おお、なんとなく自分の中で25年ごしで氷解した気がする。


それにしても、サイヤ人とは何と業深い民族だろう。フリーザが手を下さずともいずれ破壊神により破壊される運命だったのだから。