人造人間16号について語ってみた | 極星十字相殺拳

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北斗の拳やキン肉マン、ドラゴンボールについて普通「どうでもいいやろ」と思うことを真剣に自由きままに考える、そんなブログです。

自分の少年時代に、作品を通じて愛と友情と正義を教えてくれた製作者の皆様に、心から敬意と感謝申し上げます。

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ドクターゲロが生み出した全人工製の人造人間。孫悟空を殺すために作られたが失敗作として眠っていたところを17号と18号によって起動した。悟空のところに向かう17号たちとともに旅を続けていたが、自然と動物を愛する性格のため悟空以外の者との闘いには一切参加せず小鳥を眺めていた。
17号と18号を守るためセルと闘うが、17号を吸収しパワーアップしたセルの前に敗北した。停止寸前になりながらも18号を守ろうと奮闘するが、虚しく18号も吸収されてしまう。
その後クリリンに助けられ、セルゲームに参加。セルとともに自爆する作戦は爆弾を除去されていたため失敗したものの、最期には死をもって悟飯の怒りを引き出すきっかけとなった。


DBには様々な敵が登場したが、この16号ほど謎のキャラクターはいなかった。「謎の16号」というタイトルもあったが、そのとおりいったいこの人はなんなの?何者なの?なにがしたいの?と読者に散々期待と不安を抱かせ、セル登場後にはいきなりキャラが変わったようにしゃべりだし、18号に笑顔すら見せるようになり、あの冷静さはどこにいったのかというほど汗をかき「しまったー!」「逃げるぞー!18号ー!!」と絶叫してあっという間にやられてしまった。セルのことを何かしらで知ったみたいな過去が描かれるかと思ったが結局そんなシーンは一切ないままセルゲームで破壊されジ・エンド。これが例えばジョジョなら「闘うときがきたのだ、孫悟空と出会う前に」の次の回で「人造人間16号は自然と動物を愛する性質だった。それゆえにドクターゲロからは失敗作とみなされ長きにわたり眠りについていたー」みたいに過去を数ページにわたり掲載しただろう。


しかしよくよく考えれば、16号の正体は至極単純である。「孫悟空を殺すために作られた人造人間」である。わかっとるわとツッコまれそうだが、それ以上でもそれ以下でもないのだ。17号が「そいつは孫悟空を殺すことしか頭にないんだ」と言っていたとおりだ。

ではそれほど悟空の命以外に全く関心のなかった16号がなぜセルには立ち向かったのだろうか?なぜゲロから失敗作といわれていたのだろうか?


こういうときは本編のセリフに着目すれば一番と思い、読み返してみた。
「そいつ(セル)を完全体にしてはならない。そいつの目的はもはや孫悟空の死ではない。全宇宙を滅ぼすつもりだ。」
「もし17号が吸収され、お前まで吸収されたらもはや誰の手にもおえない、世界の終わりだ。」
「セルを破壊する。闘うときがきたのだ、孫悟空と出会う前に」


まとめると、「セルが完全体になったら、世界も全宇宙も滅ぼされてしまう。だからセルを破壊する」ということだが、これは逆に考えると16号の「世界も宇宙も守りたい」という意志の現れであることは明らかだ。つまりドクターゲロの目的であった世界征服の野望とは相反するものである。そりゃ失敗作といわれて当然だろう。

思えばゲロの16号に対する恐れは異常だった。
「い、いかん!やめろ!この世界そのものを滅ぼしたいのか!16号は試作型で失敗作なんだ!絶対に動かすんじゃない!」
「とにかく動かすな!きさまらや私の首を締めることになるかもしれんのだぞ!」
「これだけ言ってもわからんか!スイッチを押すんじゃなーい!!」
とやかましく喚いたがために17号に殺されてしまった。


しかし2014年発売された「フルカラーコミックス」に掲載された鳥山先生のインタビューにおいてついに16号の正体が語られた。なんと16号のモデルは「レッドリボン軍上級兵士であったゲロの息子」だったという。敵の銃弾に倒れたらしい。我が子に対する「できれば戦闘で壊したくない」という特別な感情から闘いを好む非情な性格にはできなかったらしい。



16号は「孫悟空を殺す」ということをインプットされているから目的自体はプログラムを変えない限り変わらない。でもこれがゲロのミスだった。「無駄な戦闘で壊れてほしくない、悟空を殺しさえすればよい」という想いでインプットしたため、自分の命令すらきかなくなってしまった。


「破壊の対象ではない→つまり存在すべきものである→守らねばならない」という論理にたどりついたのであろう。だから世界の滅亡を招くであろうセルを破壊しようとし、命をかけて17号と18号を守ろうとしたのだ。もし17号や18号がトランクスの未来のような悪党だったらきっと立ち向かっていたことだろう。


極星十字相殺拳・別館-fs~0x01045070kdfcPRIVATEAUDFD_PAPA0_0078.jpg 最期は少年時代ジャンプを読んでトラウマになりかけたほどの死に様だったが感動的であった。
「俺の好きだった自然や動物たちを・・守ってやってくれ・・頼んだぞ・・」と悟飯に頼み、破壊されてしまった16号だが、自分が命を狙っていた男の息子に自身の願いを託すことになるとはなんとも皮肉な運命である。しかし、笑顔で最期を迎えた彼にきっと後悔はなかっただろう。
同じ境遇の人造人間でハッチャンこと8号がいたが、「悟空を殺す」というプログラムの有無だけでここまで違いがでてしまった。まさに悲劇の人造人間であった。


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