日本一寒い町・陸別町

北海道内陸部に位置し、厳寒期にはマイナス30℃以下という本州に住む人間からすると想像もできない厳寒の地には実は

アイヌが築いた屈指の隠れ名城…隠れチャシがあります。

「ユクエピラチャシ」ユクエピラとはアイヌ語で「鹿・食べる・崖」という意味でその名の通り、崖に面したチャシで16世紀中ごろに築かれた大規模なチャシの国指定史跡です。そして最大の特徴は火山灰による白いローム土で白くなった空堀という「日本全国でもここだけしか見られない」レアな光景が見れるのが一番のおススメポイント。ただし、この陸別町なかなかの訪問難易度の高さです。帯広か北見かいずれかからバスで実に2時間近くかけての旅となり、本数もそれほど多くは無いのでここの訪問だけでも1日費やしてしまうのが最大のネックとなっていました。昔は北海道ちほく高原鉄道という第3セクター鉄道が運営していたのですが、残念ながら2006年に廃止となってしまい、その代替バスしか手段がない状態。できれば鉄道現役の時代に訪問したかったなぁ…でもあの頃は学生だったしなぁ…というわけで北海道でも屈指の秘境名城を今回ご紹介します。

前日網走に最終列車22時で到着。網走駅前には格安の民宿宿があり、ここが素泊まりで2800円という超格安物件。昔ながらの民宿という感じで、石油ストーブでの暖房という超アナログな手段ですが、網走でゆっくり休める「定宿」でもあります。

その一番の売りは網走駅構内の踏切を渡って徒歩5分という駅チカ宿。部屋によっては網走駅へと入る列車を見れることのできる鉄道ファン垂涎の宿です。この日も主人の女性から見送られて網走駅を出ました。

ここから始発列車に乗って出発

前日、民宿で購入していたパンを食べながらの出発です。

北見駅は石北本線でも重要なターミナル駅。ここはジャガイモなどの農作物の一大産地であり、繁忙期には農作物を満載した貨物列車が運行されます。

駅前には百貨店も入るなど、石北本線沿線では一番栄えている印象の町。最もここも例によって例の如く人口減少による財政難が深刻で暗いニュースが届いているのが現状です。

ここから廃止鉄道の代替路線バスに乗車して、一路陸別まで。結構運賃は高いので事前に両替などで確保しておくのがベストです。

バスは一路南の陸別町まで。途中いくつかの町を通過すると一転何もない原野や山林の中を道路だけがある光景に。そして途中から廃止となった北海道ちほく高原鉄道の線路が保存されている区画が見られます。

そして現在では道の駅となっている旧陸別駅に到着。駅舎は今も使用されており、非常に綺麗な木造駅舎となっており、売店などが入っています。

廃止となったちほく高原鉄道ですが、実はこの陸別駅、今も列車が運行されていて、鉄道としての機能が生き残っています。ふるさと銀河線りくべつ鉄道として陸別から数キロの線路が整備されていて、観光鉄道として運行されているのです。かなり割高ですが、何と列車の運転までできるというもの。次回に構内を紹介します。

ユクエピラチャシは陸別駅から徒歩15分、街はずれの利別川を渡った場所にある小高い丘の上にあります。訪問当時の2022年にはまだ想像すらしていなかったのですが、ヒグマが出たらどうしよう…ここは北海道でも内陸の奥地。

国指定史跡として整備されているので、遊歩道や案内解説板などきちんと充実されています。登り口から10分ほど歩いたらチャシ全体を見渡せるビューポイントに到達します。

ビューポイントから見たユクエピラチャシ全体

ユクエピラチャシはかなり大規模なチャシ跡でいくつかの曲輪に分かれ、それぞれが空堀を張り巡らせている構造で、その上で利別川の断崖の上に築かれることでかなりの防御性をもったチャシでした。この内陸部においてこれほどの城塞を築いたアイヌの大勢力がどんなものか、興味があります。

そして先ほど述べた火山灰のローム層の土で盛り土された「白いチャシ」を見ることが出来ました!凄い!ここまで来た甲斐があったと感動し、惚れこんでしまうくらいです。多分、アイヌのチャシでは一番見所のある凄い史跡です。

空堀が縦横無尽に張り巡らされていてまさに「和人の城」と同じ雰囲気が感じられる戦闘力の高そうなチャシ

残念ながらこのチャシはがけ崩れによってチャシ史跡の半分ほどは失われてしまいました。今も柵によって痛々しい爪痕が残されています。

このチャシ史跡は非常に素晴らしい出来でした。がけ崩れで半分ほどは失われてしまったのがまったくもって惜しい。それでもこのローム層の盛り土の空堀が「白いチャシ」として素晴らしい。絶対来てみて損のない北海道の隠れ名城(チャシ)で本当に素晴らしい(大事なことなので2回言いました)また陸別行ってみたいものです。もちろん真冬は絶対無理ですが。

 

〇アクセス

 

JR石北本線北見駅から北海道北見バスで約1時間40分終点「陸別」で下車(2000円)徒歩25分でユクエピラチャシ跡

 

 

「ユクエピラチャシに狼煙が一本…」