遂に南北朝のラスボス声優が公開!!

…いや長かったよ…本当にどれだけこの日を待ち焦がれたことか。長らくシークレットキャスト扱いで6月初頭の発表会でも遂に明かされなかったのですから。6月23日といえば、鶴岡八幡宮でプレミアム公開された日。つまり秘匿が不可能になるギリギリまで伏せられたことになります。それだけ公開がギリギリまで伏せていたからにはよほどの大物でないと説明がつかないと半ばイライラの気持ちがこもっていました。

CV:小西克幸

最初、正直言うとですね…「いや、確かに小西さんはベテランだし、演技は文句ないけど果たしてここまで焦らし戦術をするくらいか?」と思っていたのですね。いや小西さんを格下のように見ていたわけではないのですよ。ただここまで公開をギリギリまで先延ばしにする意味があったのかと思っていたのです。しかし、間もなくそんな私にある「氷解」を与えてくれた御方がいました。

 

足利尊氏(高氏)=ジョジョのディアボロ説

あぁぁぁ!言われてみれば!

スタンド・キングクリムゾン=??鬼

と置き換えれば余裕で脳内転換がすっきりしてしまった。与力さんの挙げた共通点の一致が多すぎるし、CV:中村の頼重さんはブチャラティ同様に自らが犠牲となることでラスボス打倒の道筋をつけるという点も考えれば、このキャスト布陣は納得。きっと

小西ボイスの尊氏の大らかで穏やかな無欲な時の人格は『タイアニア』のファン・ヒューリックのような飄々とした兄貴タイプ

「鬼」が表層化した時はまさにディアボロの如く冷酷無慈悲なラスボスタイプ

でなると予測。そしてディアボロが「絶頂」を常に追い求めたように、「天下の中心に居続ける」ことを追い求めた南北朝のラスボスもまた「敬愛する後醍醐帝の下で猿樂三昧の隠居生活」の未来を追い求めながら、逆賊の汚名を体験し続ける無限地獄を味わうと考えれば、凄い納得がいってしまった。思い起こせば、与力さんは2020年の段階で太平記第3話の感想 で尊氏=ディアボロを唱えていて、まさかあれが伏線になるとは(違)凄い、4年越しの伏線回収か!と膝を打つ思いでした。いや完全に私の予想は外れてしまったのだけど、負けたのに痛快な思いをしてしまった(笑)おかげで小西ボイスの南北朝のラスボスが今から楽しみです。

あとは足利家の面々ですが、これは何とか一人でもいいから予測が当たりますよーに!

腹黒い弟直義=フクジュン(コード観応:反逆の腹黒い弟)

完璧執事師直=諏訪部ルシュタイン

猛将弟師泰=声優界のザ・猛将(三宅)健太

さて、ここからはアニメについてですが、

悲報:逃げ若アニメ、現在住の越前国ではTV視聴ができない(;_:)

ことが判明。そんな酷いよ…こんなのあんまりだよ…一応ネット配信で視聴できる形にしようと思うのですが、非常に悔しい。

 


ということで7月2日に先行上映会の鑑賞券が見事当選!

いや、もうさ、リアタイ視聴できないんだったら、せめて大スクリーンで見たいと思うんですよ。時行くん、雫ちゃん、弧次郎、亜也子らの舞台挨拶付きでなら文句ない豪華特典ですよ。ここまで来たら、あとはアニメ作品の出来に期待しちゃうじゃない。

本作については南北朝のラスボスの声優公開が焦らしに焦らされた苛立ち、主要メンバーが若手布陣に伴う演技力についての不安の声、原作者センセイの描く芸術的な美ショタ&美少女の画力の再現でのアニメで出来るか不安(これ私が主に懸念する点)からちょっと懸念する声が強いのも事実。でも絶対に

「南北朝を舞台にしたアニメ作品として珠玉の一品」

として伝道していきたいという思いがあります。本放送が放送するまではネタバレ厳禁となりますが、とりあえず目に焼き付けていくつもりです。それでは本編感想参ります。

 

〇祖母と孫と…

解説「『中先代の乱』から二年。時行達は伊豆に潜伏していた」

「伊豆は北条氏発祥の地であり、支配者は変われど密かに北条を慕う者が多くいた」

まずは中先代の乱後、行方をくらました時行くんたちの行方から始まります。史実の闇に入っていた時行くんたちの行動は今回描かれるのですが、もうこれが素晴らしすぎる。「確かにこうあったかも…」と想像の余地を働かせ、感慨深いモノなんですよ。

今回、登場した円成寺は

 

 

詳細な歴史については明石のタコさんの記事が詳細に解説してくれていますので、そちらをお読みいただければ幸いです。北条を滅ぼした時行くん視点からすれば、怨敵に他ならない後醍醐帝が南北朝のラスボスに命じて、生き残った北条の子女たちを庇護する場を設けた。後には腹黒い弟もまたこの寺に十分な保護が与えられるよう配慮しているのもまた知られざる一面ですね。この地はまさに北条がかつて伊豆の小土豪としていた時に屋敷としていた場所
『鎌倉殿の13人』で素朴な土豪として過ごしていた北条一族はやがて鎌倉幕府の実質的トップとなり、そしてまた滅びた後も生き残った子女たちの鎮魂の場となった始まりと終わりを過ごした場所。時行くんらはこの地に潜伏していたと考えても自然な考えです。そしてそんな時行くんが会いに来た人物こそ、この寺の主である
時行くんのお祖母ちゃんである覚海尼様
大河『太平記』では沢たまきさん演じる鎌倉幕府のゴッドマザー。時行くんの父である得宗家最後の当主北条高時の生母であり、病弱で指導者としてあまりにも弱い立場だった息子に代わって、幕府で睨みを利かせていた存在。しかし、その北条家も滅亡した後は世を儚み、今では残された数少ない家族となった孫の少年を労わる優しい老母となっていました。そんな祖母に時行くんが依頼していたのは有名なる高僧夢窓疎石への仲介でした。夢窓疎石、彼についてはかつて腹黒い弟がディベート集として書き記した『夢中問答集』に言及していた「偉いお坊さん」とは彼のことで、その影響力はこの時代の日本において多くの権力者と関係がありました。それだけにある意味中立的な立場から仲介役として交渉の場に立ち会ってきた国師。そして時行くんが覚海尼さんに依頼したのも史実的にも納得。実は鎌倉幕府が健在だった頃、既に幕府のゴッドマザー的立場にあった彼女は是非とも既に高名な存在であった夢窓疎石を鎌倉に招こうとしていました。この時、彼は誘いを断り、土佐まで逃れたのですが、是が非でも招きたい覚海尼さんは使者に「夢窓疎石どのが応じるまで帰るな」、更には「夢窓疎石どのを匿う者は厳罰に処する」と触れ回るなど強権を行使してまで鎌倉に招聘したほどの関係でした(うーん、何となく脅迫されてしぶしぶと言う感じが…)その後も鎌倉幕府滅亡後も和歌を送るなど関係が続いていました。そして今、二つに分かたれた南北の朝廷双方に伝手がある彼に取次を恃むということでどちらに頼むかと頼むと…
後醍醐帝の下への「政権選択の自由」を行使した時行くん。
覚海尼様「時行殿や、戦いを辞めて生きていくことはできませんか?」
悲し気な目でその返答に込められた深い意味を悟ります。それは現在では実質的な北朝を掌握し、将軍として天下人の立場となった南北朝のラスボス足利尊氏への徹底的な抗戦をするということ。同じ鎌倉幕府を滅ぼした怨敵に他ならない後醍醐帝に降参してでも…覚海尼さんは遺された孫を思い、ある意味翻意を促します。既に彼女は息子の高時も失い、今や遺されている血を分けた北条家の生き残りは孫の時行くんのみ(実際にはこの場にいないもう一人がいますが)、今やそんな遺された孫まで失いたくないという彼女の願いはまさに切実な思いだったでしょう。
時行くん「大母上の心を痛める不孝な孫をお許しください。ですが挑まなければ、私は幼くして死んだ事と同じなのです」
うーん、少年漫画でこんなセリフを見る日が来ようとは( ;∀;)
もちろん時行くんとしては今ここで戦いを辞めるわけにはいきません。確かに既に足利は「北条時行は死んだのだろう」と推測しており、最早追及される危険性は低いものでした。それでも戦に身を投じ続けた時行くん。彼にとってはそれは二人の父の仇を取るためでもあり、そして南北朝のラスボスへの戦いは自分に存在意義を与えられた父親…そう頼重さんのためにも戦いを続けるしかありません。

その言葉に孫の少年の決意を悟った覚海尼様は涙を流しながら、孫の願いのために行動を開始します。

覚海尼様「あの齢で…なんと強い意思を宿してしまったのか。時行殿、貴方は一体どんな運命を辿るのでしょう」

「世をそむく我があらましの行末にいかなる山のかねてまつらん」(世の捨ててけわしい道を進む我が行く末にはどのような山が待っているのだろう)

夢窓疎石とのやり取りで詠んだ歌の一節。それに対する夢窓疎石が返した歌は「夢の世とおもふうき世をなほすてて山にもあらぬ山にかくれよ(夢のようだと思うこの世をなお捨てていずことも知れぬ山へとお隠れなさい)」

その史実を巧みに時行くんの逃げ隠れしながら戦いを続けていく時行くんの人生と重ね合わせる…全く素晴らしいです。本当、逃げ若の凄さは本当にこういう所なんですよ。「史実的にこうあったかもしれない、いやこうあってほしい」と読者に思わせる巧みさ。

 

〇仇の天皇と…

そして時行くんが託した書状は吉野の後醍醐帝の下へ送り届けられます。

時行くん「我が父、高時の死は帝の天罰だと納得しており、時行は微塵もお恨み申し上げておりません」

『太平記』で残された時行くんの後醍醐帝の対する書状の一文。正直、これを書いていた時の時行くんの心境はいかばかりだったでしょう…本当なら鎌倉幕府を滅ぼし、父親をはじめ北条一族を滅ぼした主犯は後醍醐帝その人。その怨敵に対して、「父の死は天罰」とまで書いてでも訴えたかった少年の必死の思い。そういえば『英雄たちの選択』ではゲストの方が

「わざわざ『恨んでいない』と言っているのは本当は恨んでいる証拠」

と仰られていましたが、もし何も言及していなかったならば「何も触れていないのは本心を隠している証拠」と言われていたでしょう。本当に難しいよね。そして時行くんが本当に訴えたかったのはその後に来ます。

時行くん「ですが、時行の尊氏への憤りはどうかお察し下さい」

「北条からも帝からも最大の厚遇を受けながら、どちらの恩も忘れ、裏切った男」

 

 

 

おお、なんと南北朝のラスボスの悪すぎる顔よ(笑)

もちろんこれは意図的な演出。敵方である時行くん視点から見た南北朝のラスボスのイメージなので、極悪顔になって当然。実際、前話の尊氏の顔は穏やかなものだったしさ。巧みに南北朝のラスボスの「非道」を挙げ(まあ実際、どう取り繕っても二度も裏切ったのは動かしようのない事実です)

時行くん「よって北条家は今後足利のみを唯一の敵といたします」

と書状を通して、怨敵にも頭を下げてみせた侍王子。

解説「『太平記』に時行の降伏文書は強かだった。敢えて北条の非を認めて帝を持ち上げ、故事や諺を交えながら理を説き、しっかり北条の朝敵解除を要求している」

後醍醐帝「…本当に幼子が書いたとすれば出来過ぎている。文字に滲む教養もこの密書を出す時期も」

その書状に書かれた内容と巧みさ、そしてタイミングを計っていた要領からこれまた後醍醐帝視点からすれば、むしろ警戒心を呼び起こせる時行くんの器量の大きさ。

とはいえ、そこは帝自身が察している通り、今は一人でも味方が多く欲しい帝からすれば、その帰参を拒めません。そして改めて亡き楠木正成が言い残した言葉を思い出します。

後醍醐帝「…楠木、油断ならぬ幼子だな。きっと…狼の如く飢えた顔なのだろう」

 

後醍醐帝が警戒心を露にし、狼のような獰猛なイメージを抱いていた時行くんは同じころ、温泉で顔をほこらばせていました(笑)このギャップ、笑ってしまう。

時行くんにとっては温泉で楽しみながら、潜伏して敵方に追われながら、一方で覚海尼様らのように受け入れてくれる人々の温かい目、色々な思いが交錯して

うーん、更に変態感が深まっていっている(笑)

そしてなんとまた色っぽい顔なんだ(笑)

二年経過して、心身ともに更に成長して、今や自己の判断で動ける武将となった時行くん。それだけに変態性も美しさもさらに磨きがかかっています。最悪の場合は帰参を受け入れてもらえず、かといって足利に帰参するなどという選択肢の無い時行くんらは袋のネズミとなる可能性もあります。しかし、どんな運命であろうと逃げて戦う準備を整えた時行くんと逃若党の面々は決意しています。いまや、彼らもまた主君同様に大きく成長した存在です。

 そんな中、食事を終えた風間玄蕃が戻った先である気配を感じます。あ、実は美少女くノ一だった夏の四!なんと二年間にわたって彼女も隠れながら時行くんを追っていたことが判明。先の信濃での任務で中先代の乱の動向を見誤る大失態を犯した彼女は今更、その潜伏場所を報告する程度では帰参を許されない存在。何とか首だけでも思うのに、悲しいかな。あの圧倒的戦闘力は「天狗躯体」によるもので、彼女自身は玄蕃にも敵わない非力な少女。自分の無力感に苛まれる彼女に思わぬ言葉をかける風間玄蕃。彼もまた成長のために動こうとしていました。