危なかった。また目を離しちまった。

すぐに気づいたからよかったものの。

 

今日は調子がいい。昨日赤羽で30kmレースにチャレンジ、25kmあたりで足が止まりかけたものの、なんとかゴール。

自己計測で3時間20分台と、オガワ新記録。

寒かったしさすがに疲れが出るかなと思ったが、身体のメンテに気を配ったおかげか、よーく眠れたし、覚悟していた筋肉痛もほとんどなかった。このあたりは日頃のランの成果かな。今年初参加した青梅マラソン(30km)は、グロス4時間超えちゃった上に、帰りに…いや脱線。

 

今朝もラン回復用ドリンクとか飲んでたら、アルギニンとかカフェインとかの効果か、いつになくやる気が出る。時間もあるので、20年以上できなかった大掃除にとりかかる。もっぱら断捨離。洗濯。やり始めるとおもしろい。他にやることはないかといろいろ頭が回る。

 

朝から3時間以上動いて、そろそろ一服しようと思ってお湯をわかす。そうしている間にも頭は仕事を見つける。ゴミをみつける。冷蔵庫を片付ける。居間にも片付けるものがあったな、と戻る。あれ、何か大事なことを忘れているぞ。

やかんだ! あわててガスコンロに戻る。沸騰前でセーフ。いかんいかん。やかんを火にかけているときは、離れないと決めていたのに。

 

講演でもよく話すエピソードだが、やかんを爆発させたことがある。もう20年ほど前か。

オガワは重度の聴覚障害者だ。やかんの沸騰しているときの音が聞こえない。だがそれまで問題なく、沸かせていた。仕事をしながらでも、ちゃんと沸かしていることが頭にあって、沸騰する頃に戻ることができていた。

そのときは急ぎのメールが必要なことを思い出し、ガスコンロから離れ、PCに向かっていた。だがしばらくメールに没頭してしまった。すると突然「バーン」と大きな音が。オガワにも聞こえたから110dBくらいは出ていたはず。しまった、やかんか?とあわてて台所に行くと、もわっと熱気が。ガスコンロにかけたはずのやかんがない。視線をさまよわせると、下に何かころがっている。これはやかんのふた?取っ手?やかんの胴体?

やっちまった…空だきしちゃったんだ…と気づき、お湯はどうなったか見たが、水気はまったくない。それもそうか。とっくに沸騰してたのか。

惨状を示していたのは壊れたやかんのみ。空だきしたやかんが熱で爆発的に壊れたのだと、やっと事態がのみこめた。

同時に恐くなった。やかんが爆発するまで、ずっと沸騰ピー音を出していたのか?爆発音はマンション全体に聞こえたのではないか?こわごわと玄関のドアスコープを覗いたが、人はいないようだ…いたらもっと困るが。

 

衝撃の度合いに比べ、被害?はやかんが壊れただけなので、外形的にはたいしたことはなかった。だが見えないところが恐い。あの爆発音、近所の人にも聞こえたはずだ。こんなことがあると、近所の人はオガワを危険視するのではないか?火の管理ができない、火事を起こしかねない人間と見られないか?やはり聞こえない人は…などと思われないか?

等々考えると、それからはガスコンロから離れられなくなった。

 

考えてみると、その頃から能力の低下が始まっていたのだろう。40を超えて慢性膵炎を発病した時期。それまでできていたマルチタスクができなくなってきた。複数の作業を同時進行、頭を切り替えて締め切りもきちんと守れていたが、できる範囲が狭くなってきていた。50を超えるとさらに顕著に。メールの返信も滞りがちになり、短期的な記憶力の保持も難しくなってきた。3つ以上の質問を受けて、2つ目までは覚えていても、最後の一つが覚えていられなくなった。それまでできていたことができなくなるというのは恐怖でもあった。なぜできないのか、と混乱した。忙しいからだと理由をつけていた。仕事を減らすことをしなかった。ますます失敗を繰り返した。

60を過ぎて、やっと仕事を手放すことを覚えるようになった。いまは二つ以上のことを同時にするのも難しいことがあると感じる。

眼前のことに集中すべきなのだろう。そう思っていたはずなのに、今日も調子がいいからと、ついついやかんをかけたガスコンロから離れてしまった。

やかんからは目を離さない。特に安全に関わる部分は、集中してあたる。マルチタスクしようとしない。

自戒していきたい。