ボブ・ディランの全曲訳詞に挑戦中、「ディラン日記」のコーナー。前回でブートレッグ・シリーズの第2集が終了し、今回から第3集に入って参ります。1曲目は引き続き"Blood on the Trucks"の別テイクが続きます。

D103-01 If You See Her, Say Hello (音源はこちら)

そして2曲目からは、76年の"Desire"録音時の未発表曲が2曲続きます。今回のこの曲、聞いただけで"Desire"録音時のものであることがわかります。歌詞も比較的容易でした。

 

Golden Loom
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991"(1991)収録

歌詞の方は男のところに女性が現れて、一緒に過ごし、いなくなってしまうという3ヴァースによる話。夜や月明かり等の描写が優れています。女性がこの曲のタイトルになっている金の織機を持って現れるところを始め、何か神々しい雰囲気を持った歌詞です。ギリシャ神話のオデュッセウス(ユリシーズ)と妻のペネローペーの話に類似しているとの解釈もあるようです。

サウンドの方は、スカーレット・リヴェラのヴァイオリンをフィーチャーした、ミドルテンポのカントリー風サウンド。バックグラウンド・ヴォーカルに、エミルー・ハリスが参加しており、まさに"Desire"といった雰囲気です。

ブートレッグ・シリーズが出るまでは。ディランとしては未発表曲でしたが、元ザ・バーズのロジャー・マッギンが77年に発表したソロ・アルバムに収録しています。

まずは原詩をディランのHPで確認下さい。
https://www.bobdylan.com/songs/golden-loom/

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煙る秋の夜 空には星
湾を渡ってボートが行くのが見えた
ユーカリの木が通りに張り出している
その時オレは振り返った おまえが近づいて来たから
水面に月の光 漁師の娘がオレの部屋に漂って来た
金色の織機とともに

まずオレたちは不滅の神社の側で足を洗う
そしてオレたちの影がかさなって ワインを飲む
おまえの顔に空腹の様子が見える
そして涙がこぼれ落ちる なんて苦い味だ
そしておまえは夏の日に流れ出す 野の花が咲く場所で
金色に織機とともに

オレは橋を歩いて渡る 陰気な光の中で
夜の門の間で 車がみな剥ぎ取られる場所で
蓮の花のしっぽを持った 震えるライオンが見える
そしてオレはおまえにキスする おまえのベールを上げながら
だがおまえはいない オレが思い出すのは香水の香りと
おまえの金色の織機だけ
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曲の方はまずロジャー・マッギンのヴァージョンからお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=Sm3TUKK2-Co
 

そしてディランのヴァージョンです。