昨年9月に再開して以来、なかなか前に進まない「20世紀のロック・アルバム」のコーナー。2ndシーズンは、ようやく5枚目となりました。前回から、ほぼ4か月ぶりのアップです。
今回は、70年代の初頭のUKを席巻したグラム・ロックのヒーロー、マーク・ボラン率いるT・レックスの最高傑作と言われる1枚です。

The Slider / T. Rex
72年発表
ティラノザウルス・レックスとして、67年に結成され、その翌年デビュー。当初はサイケデリック・フォークといった感じのサウンドでしたが、70年にエレクトリック・サウンドへと切り替わり、バンド名を前半を略して、T・レックスと生まれ変わりました。
この方向転換が、時代の流れと見事に共鳴。UKの音楽シーンを席巻する、グラム・ロックの中核的存在として、時代を象徴する存在となりました。
72年に発表されたこのアルバムは、そんな彼らの絶頂期にリリースされた、彼らの代表作。どちらかと言うと、シングル・アーティスト的な雰囲気もありましたが、当時の勢いを、強く感じさせる作品です。
① Metal Guru
オープニングは、このアルバムからの2ndシングル。全英No.1を獲得しています。個人的には、初めて買った洋楽シングルでした。ストリングスと女声コーラスの導入が印象的。
② Mystic Lady
③ Rock On
妖しげなスロー・テンポにの②では、ボランのセクシーなヴォーカルが堪能できます。いかにも彼ららしい、ミドル・テンポのブギー・ナンバーの③。ここでも女声コーラスがサウンドに厚みを与えています。
https://www.youtube.com/watch?v=56QHZD12nYg
④ The Slider
アルバム・タイトル曲の④は、淡々としたリズムが、徐々に盛り上がって来る、不思議な魔力を持ったナンバーです。
https://www.youtube.com/watch?v=McujEo04HJA
⑤ Baby Boomerang
⑥ Spaceball Ricochet
⑦ Buick Mackane
ロックンロール調のリフが印象的な⑤も、彼らならではのノリを感じさせます。アコースティックなサウンドで迫って来る⑥では、幽玄な雰囲気すら感じます。A面ラストの⑦は、スケールの大きさを感じさせる、高揚感溢れるナンバー。
⑧ Telegram Sam
B面トップは、アルバムから最初にシングル・カットされ、こちらもUKチャートのトップに立った彼らの代表曲。得意のブギー調のサウンドに、サビでストリングスが流れて来るところ、T・レックスならではです。
https://www.youtube.com/watch?v=IRG3ugqY4Ks
⑨ Rabbit Fighter
⑩ Baby Strange
⑪ Ballrooms of Mars
美しささえ感じてしまう⑨は、特にサビのメロディはスタンダードに近いものを感じます。再び、ブギー調の⑩は、軽妙なリズム感が心地よい。ボランと並んで、グラム・ロックの両雄と言われたデヴィッド・ボウイのサウンドにも通ずる⑪は、陰影のあるメロディが印象的。
https://www.youtube.com/watch?v=m947Gjlvcag
⑫ Chariot Choogle
⑬ Main Man
ヘヴィーなギター・サウンドがうなる⑫は、イントロ・間奏のリフが高揚感を煽ります。ラストの⑬のタイトルは、⑧の歌詞にも出て来る、当時の彼らのキーワード的単語。妖しげな雰囲気でアルバムは幕を閉じます。
一時代を築き上げた高揚感と、彼らならではの毒みたいなものを感じさせる、他のロックアルバムとは、一味違った魅力をふりまく作品であると思います。