ボブ・ディランの全曲訳詞に挑戦中、「ディラン日記」のコーナー。"The Bootleg Series 2"を進めております。前回、"Highway 61 Revisited"に入ったばかりですが、このアルバムからの残り2曲は、いずれもアルバム収録ヴァージョンの別テイクでした。

D102-09 Like a Rolling Stone音源はこちら
D102-10 It Takes a Lot to laugh, It Takes a Train to Cry音源はこちら

ということで、今回から"Blonde on Blonde"のアウトテイクに入って参ります。

 

I'll Keep It with Mine
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991"(1991)収録

ここでお詫びです。ディランの全曲訳詞を時系列に取り組んで来たこのコーナーですが、85年に発表された3枚組のベスト・アルバム"Biograph"に、未発表曲が収録されていることに気づかず、このアルバムをスルーしておりました。いつかの時点で挽回しようと思います。

さて、そのベストに未発表曲としてこの曲が収録されていたのですが、そちらは65年の"Bring It All Back Home"録音時の音源でした。今回は、"Blonde on Blonde"のニューヨーク・セッションで録音されたヴァージョンです。さらにこの曲は10年に発表されたブートレッグ・シリーズの第9弾"The Witmark Demos"に、64年のヴァージョンが収録されています。かなり古くから存在した曲で、これをジュディ・コリンズに提供し、彼女が65年にシングルとして発表したものが、最初に世に出たものでした。さらに67年にニコが"Chelsea Girl"に収録しています。

好きな女を大事にしようと思っている男の独白。ディランにしては、結構直接的な愛情表現ですが、最後の第3ヴァースでは、列車を比喩に使っています。

演奏の方は、ディランはピアノを弾きながらうたっているようです。そのバックに流れるアル・クーパーのオルガンも印象的。そして地味にサポートしているのが、ザ・ホークス(後のザ・バンド)のロビー・ロバートソンのギターとリック・ダンコのベースです。このシリーズ、遂にホークス登場です。

まずはディランのHPで原詩を確認下さい。
https://www.bobdylan.com/songs/ill-keep-it-mine/

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どんなコストを払っても探すんだね ベイビー
でも失くしてないものを どれだけ探せるんだい ベイビー
みんなが助けてくれる いくらかの人はとっても親切
でもいつでもオレがあんたを救えるのなら
おいで オレにそれをくれ オレは自分のをとっておくから

オレが変わってると思うなら オレは助けられない
ありのままのあんたじゃなくて そうじゃないあんたを愛してると言ったら
みんなが助けてくれる 探そうとしていたものを見つける
でもいつでもオレがあんたを救えるのなら
おいで オレにそれをくれ オレは自分のをとっておくから

列車が出る 10時半に
でも明日には帰って来る 同じ時間にもう1度
車掌は疲れてる まだ線路で立ち往生してる
でもいつでもオレがあんたを救えるのなら
おいで オレにそれをくれ オレは自分のをとっておくから
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まずはジュディ・コリンズのヴァージョン。
https://www.youtube.com/watch?v=fR_3v7TBh9E

そして"The Witmark Demos"のヴァージョン。
https://www.youtube.com/watch?v=VY7QrmlH720

続いて"Biograph"のヴァージョン。
https://www.youtube.com/watch?v=HFs2pAuVtIQ

最後に、このアルバム収録のヴァージョンをお聴き下さい。