Sea Breeze Season8 -81ページ目

一週間後

先週の日曜日に海の家の撤収作業が終わった。


その時にはまだ周りには作業中の海の家も何軒かあったが…。



あれから一週間。




すべての海の家が撤収作業を終えて、もう海岸には何も残っていない。



広々とした砂浜を眺めていると、今年の夏も終わったなぁと実感してしまう。



赤トンボも飛んでいる。



夜になると虫の声もだんだん大きくなってきた。



暑い日は続いているが、いろんな形で季節が動いているのを感じる。

再会 ~ケーキを持って

8月も後半に入った日曜日。


この日は遠泳大会が行われた。



この夏の最後のイベントだ。



そして最後の大忙しとなる。



大会は午前中に行なわれ、午後から表彰式。




選手や応援団などでどこの海の家も大勢の人でごった返していた。




食事をする選手や宴会を始めた入賞者で食堂も売店も大忙しだった。






そんな騒ぎが一段落した頃、






今年も彼女がケーキを持って遊びにきた。






一年ぶりの再会だ。






学生だった頃は、ひと夏に何度も遊びにきたが、社会人になるとさすがに忙しいようで、顔を出す回数が減ってきた。






それでも必ずケーキやクッキーを作ってきてくれる。





久しぶりに会った彼女は少し落ち着いた雰囲気だった。




そんな話から、初めてここに来た頃の思い出話になった。





初めてここにきた頃はまだ高校生だった。





きっかけはこの売店でジュースを買ったことから始まった。



まだ夏が始まったばかりの頃だったと思う。



2人の女の子が買ったジュースを飲みながら売店の前、熱い日差しのなかで何かブツブツ言っている。




「外は暑いから中で休んでもいいよ。」



と言うと、



「ありがとう。」



と言って入ってきた。


水着も持ってないので聞いてみると、遊びに行く約束をしていた友達にドタキャンされたと言う。



それで2人は海にでも行こうということになり、立ち寄ったのがここだった。



その後、2人はかき氷を注文した。



少し食べたところで、



「お兄さん、ミルクサービスしてくれる?」



と言ってきた。



まあいいかと思い、ミルクをかけた。



しばらくすると、



「もうちょっと。」



と言ってきた。



「これで最後だからな。」


と言ってミルクをかけてやった。

わがままな小娘だ。



それから何度か遊びにきてはわがままを言っていた。



そして夏も本番になった頃の週末。




また2人がやってきて、



「これ。」



と言って袋を差し出した。


「わがままのお礼。」



と言った。

開けてみるとクッキーが入っていた。



「わざわざ買ってきたのか?」



「自分で焼いたんだよ。」


わがままな小娘だけどちょっと見直した。



それが最初の夏だった。




そんな話をしながら、




「あの頃に比べると、お前も落ち着いたなぁ。」



と言うと、



「あれから何年たったと思ってるのよ!今年でもう8回目の夏だよ。」




たまたま立ち寄った海の家の売店でジュースを買ったのがきっかけで、もう8年もたっている。


初めは2人だったが、何年か前からもう1人は仕事の関係で来られなくなってしまった。


今では彼女だけが来ている。



今まで気になっていたことを聞いてみた。




「1人できて退屈じゃないのか?




すると彼女は、




「そんなことないよ。ここに来ると楽しいし、夏になったらみんなの顔を見たくなるから。」




と言った。




また来年、ここで彼女のケーキが食べられることを期待しよう。

台風

今年の夏は天気には恵まれた。




いつもならばシーズン中に一度は台風の心配をするのだが、今年はそれがなかった。




海が荒れて遊泳禁止になることもなかった。




それに猛暑続きだった。





でも、今回の台風を境目にだんだん秋っぽくなってくるだろう。