Sea Breeze Season8 -80ページ目

白と黒

今年の夏はとにかく暑かった。



日射しも強かった。



売店にくる女の子たちの中には焼きたいと言うコもいるが、ほとんどが焼きたくないと言って日焼け止めを買っていく。



この日はそんな「焼きたい派」と「焼きたくない派」の女の子がコンビでやって来た。




日焼け娘と色白娘



一人は既に日焼けしていてサンオイルを買った。


もう一人は真っ白い肌していて日焼け止めを買った。




ビーチにはパラソルとサマーベッドが2つ。



色白娘はパラソルの下に、
日焼け娘は炎天下の砂浜の上に、

それぞれサマーベッドを並べて寝ている。



移動する時も日焼け娘は無防備に、色白娘は日傘をさしている。



海の家で休憩している時も、色白娘は缶チューハイをおとなしく飲み、

日焼け娘はジョッキで生ビールを勢いよく空けている。



まったく正反対の二人。



かと言って、二人とも退屈しているようでもなく、楽しそうにしている。



何回かナンパ男たちに声をかけられていたが、まったく無視。



彼女たちは普段からよく一緒に遊んでいると言う。


二人とも海が好きで今年の夏もよく海に行ったそうだ。



この白と黒のコンビ。


街で見かけたら絶対わかるだろうなと思うくらいインパクトがあった。

携帯電話

海の家を撤去していると、時々砂の中から携帯電話が出てくることがある。



夏の間に誰かが落としていったものだろう。



その頃には、砂や潮でもう使い物にはならなくなっている。



シーズン中は海の家での落とし物ならば売店に届いてくる。

そしてビーチでの落とし物は救護本部に届けられる。



その日もお客さんから、


「あの…、携帯の落とし物届いてませんか?」



と聞かれた。

まだ小さい子供を二人連れ遊びに来ていたお母さんだ。



この日は特に落とし物は届いてなかった。




念のため、救護本部にも確認したが届いてないと言う。




時間は午後3時半過ぎ。


そろそろお客さんも帰り始める時間。



この時間に届いてないとちょっと厳しい。



「誰か拾っているかもしれないから、携帯にかけてみますか?」



と言って携帯を貸してあげた。



そしてお母さんが自分の携帯にかけてみた。


相手がでたらしく、しばらく話しをしている。



携帯を切って、



「ありがとうございました。携帯見つかりました。」


と言った。


聞いてみると、2~3軒先の海の家に入っているお客さんが拾ったそうだ。



そこの海の家のオヤジさんとは顔馴染みだ。

受け取りに行くと言うので挨拶がてら一緒について行った。



拾ってくれたのは、若いカップル客。

無事に携帯を受け取ったお母さんは、お礼にビールを差し入れしていた。



海の家に戻って子供たちにジュースを飲ませながら、携帯をチェックしていたお母さんが、



「あら?」



と言って携帯を見せてくれた。


見ると発信履歴に「177」。



お母さんは、



「あの人たち、こんなに晴れているのにお天気が気になったのねぇ。」



と呑気に言った。

サークル その2

そろそろ秋の気配が近づいてきているが、もう少し夏の続きを。




8月の前半。


この日海の家に来た、大学生のサークル。


とにかく元気でにぎやかだ。



男女合わせて10人ちょっと。


荷物も多い。



女の子たちが


「空気入れ貸してもらえますか?」



と言ったので、使い方を教えてあげた。


ウキワが5個にボールが3個。




空気を入れ終わり、全員揃って砂浜へと繰り出して行った。




そして予想通り、この日最後まで残っていたのがこのサークルメンバーだ。



午前中に来て、閉店間際まで遊んでいた。




それから帰るまでの慌ただしさといったらなかった。



全員そろって海の家の中でビールやジュースを飲みながら騒いでいたが、




バイトから、



「そろそろ閉店時間なんですが…」



と言われ、



リーダーらしき学生が、



「みんな早く支度しろ!」


と言うと、



「あーっ!もうこんな時間!」


とか、


「誰かそこの酔っぱらい起こせ!」



とか、



「アタシのバッグどこー!」



とか、ドタバタしながらも、みんなシャワー室走った。




この時、閉店10分前。




シャワーを浴びて着替え終えたものの、荷物はまだ出しっぱなし。




荷物をまとめ始めたが、



今度は、




「誰かウキワの空気抜くの手伝ってー!」



とか、




「水着がなーい!」




とか、




「オレのビーサン片方ねーぞー!」




とか、




「干してあるタオル誰のだー!」




とか、とにかく忙しい。




それでも何とか荷物もまとまったので、




「忘れ物はない?大丈夫?」



と聞くと、




「はい、大丈夫です!」



と言う返事が。





彼らのいた辺りを見回してみると、テーブルの下に携帯が1つ。




「この携帯誰のー?」



と言うと、




「あーっ!アタシのですーっ!」




と、いきなり忘れ物をしている。




やれやれ…。




そんなこんなでこのサークルが帰りかけた時に、食堂からバイトたちに、



「お疲れさまー、スイカだよー」




と、おばさんがスイカを持ってきた。




携帯を受け取った女の子がそれを見て、




「おいしそー!」



他の女の子が、




「食べたーい!」




次々に「アタシもー!」




おばさんも、



「ほらほら、せっかく来たんだから食べていきな。」



と言ってスイカを振る舞っていた。




スイカを食べた女の子たちは、



「ごちそうさまでしたー。」



おばさんも、




「気をつけて帰るんだよー。」



と見送り、



「はーい。」




と返事をして帰って行った。




その間、何も知らない男子メンバーは駐車場で待たされていた。