Sea Breeze Season8 -71ページ目

たくましい彼女、ひ弱な彼氏

前回の波が高い日にあったお話をもう一つ。



売店の中は喫煙はOKなのだが、時々ビーチの喫煙所でタバコを吸うこともある。



この日も喫煙所でタバコを吸っていた。


そこへ、


「あのぉ、ライター借りてもいいですか?」


と、女の子がタバコを吸いにやってきたので火をつけてあげた。


「売店の方ですよね?いつもこんなに波高いんですか?」


と聞かれたので、


「台風の影響だよ。いつもは静かな海なんだけど、今日は残念だったね。」


と答えると、


「アタシは波の向こう側まで泳いじゃうから全然大丈夫なんだけど。一緒に来た彼氏がね…。」



彼女の話では、関東地方の海水浴場で開催されている遠泳大会によく参加しているという。

だから、海には慣れていて波が崩れる場所よりも沖に出て泳いでいる。



確かに日焼けをして競泳用水着を身につけた彼女を見ると、肩から腕、胸にかけてカチッと筋肉がついた水泳選手のような体をしている。


ただ一緒に来た彼氏の事を、


「彼氏と一緒に来たんだけど、足の届かないところはイヤダだ!って言って海に入ろうとしないんです。」


と不満そうに教えてくれた。


そして、


「火、ありがとうございました。」


と言って彼氏の待つバラソルに帰って行った。


そこで待っていた彼氏は、長身で痩せ型の色の白いタイプ。


カンタンに言うと、ヒョロヒョロした頼りなさそうな感じ。


どうみてもつりあいの取れない組み合わせ。


でも、まぁ、そこは好みの問題なのでどうでもいいのだか、


そのあと、バラソルの下で彼氏は彼女の腕枕で寄り添って寝ていた。


そんな二人を見ていたら、これはこれで「あり」かなと思えてきた。

ご用心

この日は日本の海上を台風が通過した。


かなり沖合いを通ったので天気に影響はなかったが、それでもうねりは入って来るので波は高かった。


朝から遊泳注意。


こういう波が高い日、特に台風の波が入っているときは、女性の皆さんは注意してもらいたい。



恥ずかしいハプニングに見舞われることがある。




押し寄せる波に乗ろうとして、逆に波にのみ込まれている人をよく見かける。



だが失敗して一度のまれると、波の勢いがおさまるまで海中でもみくちゃにされ、砂まみれになる。



この時に水着のブラが外れることがあるのだ。


特にウキワをつけているコは要注意。


ウキワが水着をズラしてしまう。


それに気づかずに海から上がってくる。


毎年必ずそんなコがいる。

なかには水着のおしりがTバックのようになってしまっているコも。





この日、うちに入っているお客さんもそんなハプニングに見舞われた。



売店のお客さんも途切れたので、オレはすぐ前のテーブル席でのんびりとコーヒーを飲んでいた。


そこへ波にのまれて砂まみれになった女の子が二人。

「やられた~。」


と言いながら海から上がってきた。


そのうちのひとりの水着が上にズレ上がっている。


オレは、


「はみ出してるよ。」


教えた。
それを見た相方のコが、


「アンタ、何やってんの。」


と言って笑いだした。



水着から下乳が出ていて、きわどいところで止まっていた。


気づいたそのコは余程焦ったのか、


「あっ!」


と言って、オレの目の前でいきなり水着に手を突っ込んで直し始めた。


それを見ていた相方が大笑いしながら、


「ナニ見てんのよー。いやらしい~。」


とオレの肩をバチンと叩いた。


「そんなこと言ったって、この姉さんが目の前で始めるから…。せっかくのご厚意を無駄にするのも申し訳ないし…、ねぇ。」


と言うと、


「もう、エッチ!」


と言って、またバチン!


水着も直し終わったので、


「早くシャワー浴びておいで。」


とシャワー室へ行かせた。


着替え終わってビールを買いにきた彼女たちとしばらく雑談。


波が高い日はこういう事になるから気をつけるようにと説明しているのに、どうしてもオレを“エッチ”にしたいらしい。



そして帰りぎわ彼女たちは笑いながら、



「じゃあね、エッチなお兄さん。」



と言って帰って行った。




結局オレは“エッチなお兄さん”にされたままだ。




とにかく波の高い日は、女性のみんなには気をつけてもらいたい。

喫煙所

最近はどこへ行っても喫煙者には厳しい環境ばかり。


それはビーチも同じことで、灰皿が設置された喫煙所以外では自由にタバコを吸えない。


灰皿はそれぞれの海の家の前の砂浜に置かれている。


当然この海の家の前にも置いてある。



その喫煙所にたびたび現れる二人組の男。



女の子が喫煙所にくると二人はやって来る。



そこで通り掛かりの喫煙者を装ってさりげなく声をかけている。



よく見かけるナンパ男は、ビーチをウロウロしながら女の子を物色しては声をかけている。



でも決して成功率が高いとは言えない。



そこでこの二人は考えたのだろう。


歩き回らなくても女の子のほうから来てくれるのだから。



ちなみに灰皿の設置場所はオレがいる売店の目の前。



うまくいくはずがないと思いながら見物していた。



見ているうちに二人のターゲットがわかった。



ほとんど日焼けしていない小柄なコで顔はそこそこな感じ。



そういう女の子がくると二人は現れては話しかけている。



その中にはうちに入っているお客さんもいた。



同じタイミングで日焼けしたコがいても、そちらには話しかけない。



毎回会話はできているようだが長続きしない。



タバコを吸い終わると女の子はその場を離れてしまう。


当然だ。


二人が話しかけている女の子は、ほとんどが日焼け止めをぬってパラソルの下にいるタイプなのだ。


そんなコが屋根もない夏空の下で長話しをするはずがない。




さっき話しかけられていたうちのお客さんが売店に来たので聞いて見ると、


「ここにはよく来るの?オレ達、結構ここ使ってるんだ。」


とか言って常連を気取っていたらしい。



因みにあの二人をオレは見たことがない。



そのコも、



「あたしはタバコを吸いたいだけなのにウザいし暑苦しいしイヤんなっちゃう」

と言い、ビールを買って戻って行った。



結局この二人、海にいるたった数時間のあいだ、

タバコを吸い続け、

体は真っ赤に日焼けし、


挙げ句の果てに、ナンパもできなかったという、


不健康でイタイ海水浴をして帰って行った。