たくましくも、可憐なサクラ…
今ね病院の外にいるんだ。
病院の駐車場にサクラが咲いてる。
アスファルトの駐車場のど真ん中に。
たくましくも、可憐に。
しっかり根を張って、生きている。
見る人の心を穏やかにしてくれている。
笑顔にさせてくれる。
入院後、はじめて外へ散歩に出た時の出来事…
サクラの木の下で、車椅子に乗った少女に出会いました。
事故により、今はまだ歩く事ができません。
それでも一生懸命リハビリ頑張ってます。
健気に頑張ってます。
少女は話が好きで、よく故郷の十勝の話をしてくれます。
それと、花の話。
ボクの祖父母も少女の故郷の隣の町にいましたので、その街の事はよくわかりました。
そのせいか、少女も親近感を持って、楽しそうに話してくれます。
故郷を思い浮かべながら…
「私が札幌から行くと日勝峠はいつも快晴なんだよ(^0^)/♪
みんなは、いっつも霧がかかるよ、って言うけど信じられないの(^_^)
今の時期なら山にはまだ雪が残っているけれど、遠くに見える畑は緑色で綺麗なんだよ~(^-^)
十勝平野っていうの。どこまでもどこまでも緑色の畑が続いて、地平線だって見えるんだから!
クルマの運転に自信があったら飛ばしたくなるかも…(^_^;)
私も早く免許ほしいな~
あ、そうだ!店長さんの隣に乗っけてもらえばいいか~p(^^)q」
表情に陰りを見せず、天真爛漫に振る舞ってくれました。
「日勝峠降りたらね、右に抜け道あるよね。羽帯ね。牛がい~っぱいいるところ!ここを知ってる人とお話できるの嬉しいわ。
この時期、私の昔の家ではチューリップが咲いているころなんだよ~!
私チューリップ大好きなんだ(^0^)/」
チューリップの花言葉は「愛」です。
4月13日のブログでも書きましたね。
チューリップは少女にぴったりの花だなぁと、その笑顔を見ながら思いました。
そこまで話すと、ちょっと疲れたのでしょうか。
少しの間、目を閉じて、
あたたかい陽が射す窓の外に顔を向けて、
目を細めて、
そして、ゆっくり話し始めました。
「私の部屋は出窓のある部屋でね、今日みたく天気のいい日は窓を開けて、ピアノ弾いてたんだよ(^-^)
夜なら足元のレバーで消音して弾くの。
これでも結構上手なんだよ♪
その目は疑ってるネ(笑)」
そんな少女の笑顔を見てたら、少女の足のことを忘れそうでした。お互いに。
次の話を聞くまでは…
「ピアノを弾いていると、出窓からやさし~い風が入ってくるの。
空には自由な雲がゆらゆら浮かんでいるの。
もっと聴かせて、って言ってるみたい(^。^)
…店長さん?
風は自由気ままに過ぎ去っていくのよ…
雲は風に形を変えられながら大きくなったり小さくなったり…
消えちゃったり…
私は風になりたい。爽やかな風のように、吹かれて気持ちいい風になら、なってみたいかな。
目を閉じて、風に吹かれていると気持ちいいでしょう?
店長さんの息子さんの笑い声や奥さんの楽しげなおしゃべりも聞こえてきて。
そんなとき、なにげないそんなひとときって、幸せだなぁと感じるよね…(*^_^*)」
ボクは涙をこらえていたつもりだけど、そのつもりだけど…
「風になりたい」と言った少女の気持ち。
いつか必ず風のように歩ける日がくるよ!
って言葉にできなくて、でも、少女は夢を叶える。
きっと…