『心はいつもバスケっ子』 -179ページ目
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少女の想いに感動し涙、自分の情けなさにも涙。

 お客様の目線で・・・お客様の立場に立って・・・・どんな商売でもよく言われることです。


もちろん元バスケ部、BB-PHOTOも 「選手の気持になって」 と目標を掲げ撮影を開始しました。




私自身 小中高大とバスケットを続けてきた経験があり、だれよりも選手の気持ちに近いと自負していました




コートで華麗にシュートを放つシーンだけではなく、





誰からも脚光を浴びる事のない、ゴール下でのスクリーンアウト。





自分もコートに立っているかのごとく、ベンチから声援をおくる姿。





例え、後輩が試合にでていても、心から応援する観客席の上級生。






その日、ぱっと会場に行っただけでは絶対にわからない想いが会場中を包んでいます。




そういったシーンを写真で残してこそ、BB-PHOTOの価値 があると思っていました。










2006.IH京都府予選 準決勝




私が撮影にいったチームは100点ゲームで大敗を喫し、ベスト4で全国への道が閉ざされてしまいました。




この試合のラスト3分、ユニフォームが10番台の選手が5人出てきました。




この時、私は


 


3年生だから最後に出場させたのか、




2年生だが、大舞台の経験を積ませる為に出場させてのか、




わかりませんでした。




その試合、その選手達は初出場であり、

残り時間も少なかったので、ささっと全員を写しました。








年が明け、2007年1月。




卒業まであと数ヶ月のこの時期に、


その世代の選手達の試合の記録や先生・後輩からのメッセージを


DVDにまとめる作業を私がしました。




初めての試み、作業は思った以上に難航し、深夜の作業が続きました。


しかし、高校バスケット生活の記念になればと考え、
なんとか、卒業までに間に合わせました。






今見ると、非常に恥ずかしい出来栄えですが、


当時としては最高のものが出来上がりました。




顧問の先生からも絶賛されました。




バスケットに青春を懸けた選手にとって一生の記念となるものを


作ったという達成感は非常に大きく、作業の困難さはどこかへとんでいました。






卒業式も終わった3月半ば、


光栄にも、このクラブの卒部式(卒業生のお別れ会)にお招きいただき、


私は意気揚揚と会場へ足を運びました、衝撃的な出来事が待っているとも知らずに・・・








式もいよいよ終盤、卒業生一人ずつの挨拶になりました。




キャプテンからスタートし、それぞれみんなが
感謝の言葉や悔しい思い出・楽しい思い出を話していました。




ラスト2・3人で今回の主役の少女  ナナ の番となりました。






彼女は言いました。


「(全国大会出場を達成できなくて、悔しい想いをした)みんなには


申し訳ないけど、私は非常に満足した高校生活をおくる事ができました。





私が密かに目標としていた 


エンと一緒にIH予選に出場する ”


というのを達成できたからです。」









聞けば、 ナナ と エン は 地元の同じ中学でバスケットをしていましたが、


中3の夏、 エンは怪我をし、夏季大会に出場することが出来なかったそうです。




ナナにとっては試合に負けたことよりも、エンと一緒に


プレイ出来なかったことが悔しかったみたいです。








ナナ と エン が進学したのは地元の公立高校。


通学圏の関係で進学したこの高校のバスケット部は全国出場経験もある


強豪校で、2人とも、バスケットを続ける気はもちろん無かったそうでした






ところが、ナナは中学時代、エンと一緒に引退出来なかったことが


非常に心残りで、
最後の大会に一緒に出場したい
と思い、


エンをバスケット部に誘ったそうです。










ナナはこうも言いました。


「 私の実力ではどう頑張っても、試合で活躍するのは無理と入部した時からわかっていました。


でも、頑張れば、3年生のIH予選にはなんとかベンチ入りすることはできると


信じ、努力しました。」






彼女は入部の時点で、3年生になった時のベンチ入りだけを目標に努力したのです。










高校時代というのは本当に辛い事の多い時期です。





練習量が極端に増え、内容も中学校時代は想像もできないような厳しいものばかりです。





もちろん肉体面だけではありません。





非常に多感な時期で、様々な壁にぶつかります。





進級しても、中学の時のようにひょろっとした1年生は入ってきません。





自分より、身体の大きい選手・バスケットの上手い選手はいくらでも入ってきます。











そんな厳しい高校時代を 彼女は 3年生の一瞬のプレイタイムのためだけに努力したのです。




さらにこうも言いました。






「何度も辞めたいと思ったこともありました。


でも、エンを誘って入部した以上、私が辞めるわけにはいきませんでした。」






彼女自身、様々な悩みに直面し、それを乗り越えてきたのでしょう。




そして誰よりも努力してきたのでしょう。




彼女を見てきた顧問の先生は以前、こう言ってました。






「 ナナは本当に努力家。チーム一の努力家。 朝練でも私が教官室のドアを開ければ、


ナナは絶対シューティング始めていました。」




彼女は本当に努力してたのです。








私は 途中から涙が止まりませんでした。




ナナの思いに感動し、先生や選手達も涙を流していましたが、

私の涙は少し違いました。


自分が情けない、情けないのが悔しいという涙でした。

人生で3本の指に入るくらい号泣しました。








ナナの3年間分の想いのこもった3分間をささっと撮ったのです。





なにがバスケットボール歴10年や





なにが選手の気持ちがわかるや





なにが選手の一生の記念や・・・・





一秒でもいいからコートに立ちたいというバスケットマンの心を忘れていました。











私は高校時代、




福岡まで遠征にいって出場時間3分のときもありました。




四国遠征では出場0分。アップとリバウンドだけの時もありました。




後輩が遠征に行き、学校で留守番のときもありました。




様々な困難を乗り越えて努力した日々が確かにありました。








みんな同じです。





いろんな苦しい時を乗り越えて今があるんです。





IH決勝戦も 大差のついたラスト3分も





同じ高校生、同じ位の想いがつまっているんです。










それなのに、私は あたかも、おさえ写真のような感じで撮ってしまったのです。










ナナの最後の言葉はこうです。




「エン、ありがとう。エンがいてくれたからここまで頑張れました。


本当にありがとう。」









本当に衝撃的でした。


ここにきて感謝の気持ち・・・


なんて素晴らしい選手なのでしょう。






そして、ナナの素晴らしさを感じるほど、そのナナの想いのつまった3分間を全力で撮らなかった自分を本当に情けなく感じました。










私はこの日、心に誓いました。





“ 人生を懸けてバスケットを撮り続ける ” と。





その人がバスケットに生きた証を残すのが自分の使命であると。





陰のヒーロー





BB-PHOTOのブログ-レフリー

6/7 インターハイ京都府予選最終日


 華々しくメインコートで決勝戦が行われる数時間前、


サブコートで現役引退試合を終えられた方がいました。


 5位決定戦―近畿大会が京都府開催のため、今年は5位までに出場権が


与えられる。





 サブコートとはいえ、満員の観客に見守られる中、熱戦が繰り広げられた。








 陰のヒーロー・・・その方の最後のホイッスルが鳴り響いた。





 バスケット撮影を始めてはや4年目、直接の知り合いではなくても、


「あっ!あの先生や!!」という再会が多々あった。





 この方もその中の一人で、私が高校生の時から審判として


ご活躍されていた。





 選手が一生懸命努力し、力を最大限に発揮する場、オンザコート


それを最大限サポートしてくれるのが審判だと思う。





 審判がいなくては試合が成り立たないのである。


しかし、現状では重要性の割に、扱いが低いと、ある方はおっしゃていた。


「まあしょーがないけど。」と後からおっしゃていたのが非常に


リアルであった。。。。








 京都の選手のために(もちろん2Aなので、高校生・京都以外も。)


数々の試合を吹いてこられた事に尊敬の想いでいっぱいです。





 私はたまたまこの試合を撮影しにきていて、


本当にたまたま私の高校時代の後輩が審判として会場に来ていたから、


引退試合ということを教えてもらい、撮影をさせていただく事ができたが、


家に帰ってパソコンで画像を見て感じた・・・





「何十年も試合を吹いてこられたのに、


写真は最後の一試合だけしかないって寂しいな。」と。








BB-PHOTOが撮影する被写体がまた一つ増えた。







試合後、両チームの選手・観客にそのままでいてくださいとアナウンスが流れ、


花束贈呈がありました。






めちゃめちゃかっこ良かった!!

















  

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