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BBブリッジ公式ブログ クワトロB(BB-Bridge Blog)

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おはようございます。

BBブリッジの番場です。


昨日は現在作成している個人向け検査・診断ビジネスレポートの取材の一環として日経BP社が事務局として開催された「次世代パーソナルゲノム・サービス(PGS)協議会」の設立記念シンポジウムに参加しました。


本協議会のテーマである「個人向け遺伝子検査」は個人が医師を介さずに自分自身の遺伝子配列を調べることで人種や出生地域の由来、糖尿病やがんなどの病気に対する疾患リスクを知ることを目的とした検査サービスです。

個人向け遺伝子検査サービスの先駆けは米国の23andMe(共同創設者のアン・ウォジスキ氏はGoogle共同創業者セルゲイ・ブリン氏の妻であり、Googleも出資することで2006年に設立)であり、日本では去年からYahooやDeNA、エバージーン(女性向けモバイル健康サービス「るなるな」などを提供するエムティーアイが設立)、ジーンクエストなどが相次いで参入したことで注目を集めています。


米国では個人向け遺伝子検査がかなり大きな市場規模を形成していますが、実はほとんどが人種の由来や親子鑑定など医療とは関係ない遺伝子検査であり、健康・医療を目的とした個人向け遺伝子検査ビジネスはまだまだ少数です。健康・医療を目的とした個人向け遺伝子検査サービスが伸び悩む理由として、情報の提供や取扱方法が明確になっていないことがあります。実際に米国で先駆的にビジネスを進めていた23andMeは、疾患のリスクにかかわる検査結果の提供を止めるよう検査キットの販売停止命令を米国FDA(医薬品食品局)から昨年11月に受けています(昨日の会議では23andMeが欧州で数日前にCEマークを取得し、英国で125ポンドの価格でサービスを開始したとの発表もありました)。


シンポジウムではDeNAの創設者である南場氏やエバージーンの代表取締役である秋田氏、Yahoo社長室長 別所氏から各社のサービスの概要や今後の方向性についてプレゼンがありました。南場氏のプレゼンではDeNAの遺伝子検査サービスMyCodeを受けた方にアンケート調査を行ったところ、73%の方が「満足した/やや満足した」と回答したとのことでした。


日本では注目されている個人向け遺伝子サービスですが、大きな可能性と解決すべき課題を抱えています。個人がこのような検査を受けることで、生活習慣病など疾患の罹患リスクを把握し(遺伝性疾患など重篤な疾患に関わる遺伝子は検査項目から外されています)、生活習慣を変えることで予防医療を実現することが期待されます。国民医療費の削減は日本の喫緊の課題であり、遺伝子検査によって疾患予防効果が証明されれば、国の補助を通じた検査の推進なども考えられるかもしれません。


一方、課題としては①検査データを担保するためのリファレンスとなる日本人データの不足、②解析手法の違いによる検査精度の誤差、③遺伝子配列解析の結果の解釈が実施企業によって異なること などがあります。今後は事業者間で課題を解決してくことが望まれます。実際に今回発足した協議会もこのような課題を解決することを目的の1つにしているようです。


個人向け遺伝子検査サービスはアカデミア発の公開されている論文をベースに解析アルゴリズムを構築されています。そして各社のサービスは論文の解釈や重み付け、結果の表示方法によってが差別化されています。


個人向け遺伝子検査サービスをビジネスとして考えると、元データとなる論文は誰でもアクセスできるので、極端な差別化が難しいという点もあります。実際に現在の個人向け遺伝子検査サービスは価格競争になりつつあります。さらに遺伝子検査は1度行うだけで済むのでリピート検査がないということもあります。

今後、各社は遺伝子検査サービスと別の健康管理サービスを組み合わせた複合モデルを考案・事業化することで収益を確保していくことになると思います。



BBブリッジでは個人向け検査/診断ビジネスについてビジネスの現状や課題、今後の方向性を

纏めた技術・市場調査レポートを発刊しました。ご興味ある方は以下をご参照ください。


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http://www.bb-bridge.co.jp/reports/398/