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Vol.64 FIT Museum /Eco- Fashion

FIT Museum /Eco- Fashion
FIT 美術館 エコ・ファッション展


FIT (ファッション工科大学)のミュージアム・ギャラリーではとても興味深いエキジビョン“Eco-Fashion: Going Green”が11月13日まで開催されています。
過去250年に渡って、環境にとっていいことと悪いことの例を展示しながら、ファッションと環境の問題を考えるというテーマです。



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パンフレット



ファッション産業にとって、エコを考えるのは、現代においてはとても重要になってきていますが、これはファッションにとって必ずしもメリットのあることばかりではありません。なぜなら、ファッション産業にかかわらず、あらゆる産業、つまり私たちの生活を豊かに便利にするための技術などは、少なからず自然を破壊してしまうからです。
FITの今回の展示は果敢にもこの難しいテーマに挑戦した興味深い展示です。服を着ている人、つまりすべての人々が見て、産業と自然破壊の関係を考えてみるべきでしょう。
1865年のシルクのグリーンのディ・ドレスは、薬品の染料を使用しているので、有害性がある例として展示されています。


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1920年代には毛皮のコートが人気が出始め、それと同時に動物保護の運動も盛んになりました。
フランスのクチュリエでビアスカットのクィーンと言われたビオネはアトリエで労働者にコーヒーブレイクの時間や有給休暇、産休などを与えた初めてのクチュリエで労働者の保護者として認知されています。今でも溜め息が出るようなドレスを作れたのは、働く人への配慮があったからでしょう。
突然、私が昔見た夢の中で、自分が呟いていた言葉を思い出しました。
「美しいドレスを作るには、美しい素材と美しい手と美しい心が必要です」
なぜ、このような言葉を呟いていたのかどうかわかりませんが、何十年も前に見た夢の言葉をビオネのドレスを見た時に思いだしたのです。


さて、また展示品にもどりましょう。
クレイジーキルトのコートはリサイクルの代表として選ばれています。



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1950年代から盛んに使用されたナイロンたポリエステなどの合成繊維は、生産過程で酸化ガスを発生し、120年以上に渡って地球に影響を及ぼすとのこと。原糸素材をテキスタイルにする過程で、約8000もの化学薬品がつかれます。こうした薬品は人々と環境に大きなダメージを与えるのです。
この展示ではエコに反する服も展示されていますが、ファスト・ファッションではない長持ちのするクラフトマンシップによって作られた服や最近、注目されているオーガニック素材を使用した服が多く紹介されています。
オーガニックコットンにペルーの職人が刺繍したブラウスとスカートは最近ニューヨークでも注目されているジョン・パトリックの2008年のコレクションです。



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キルトを作るように人々が丸くなって語り合いながら、ハンド・ステッチをしたラグジュアリーなドレス”ゴシップドレス“もブラジル出身の若手デザイナーのものです。



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最近米国でも注目されているバンブー素材を使用したマーブルプリントのワンピース はSustainable Fashion(持続性のあるファッション)として注目されています。



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漂泊していないオーガニックウールのコートや、リサイクル素材を多用したドレスなどもユニークですね。



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この展示はエコの視点からでも素敵な服が作れるという希望を与えてくれました。