Vol.8 Fabulous New Yorkers (4) Joe Sirola
俳優・声優 Joe Sirola ジョー・シローラさんとの出会い
私のアパートのガーデン付きのペントハウスに住んでいるのが、俳優、声優として有名なジョー・シローラさんです。
60年代からクリント・イーストウッドやロック・ハドソンと競演し、映画、舞台、テレビで大活躍し、80歳の現在も現役です。
また60年代からヴォイス・オーバーという声の仕事をはじめ、今までになんと1万ものコマーシャルの声を担当しました。
70年にウォール・ストリート・ジャーナルが1面で、”Golden Voice of J.Sirola makes $500,000“という記事を掲載し、彼は”King of Voice”と呼ばれるようになりました。
「現在の貨幣価値にすれば数ミリオンドルだよ」とジョーさんはうれしそう。
私が「では、ジョーはお金持ちね」と言うと、その素晴らしい声で「そうだよ」とにっこり。
そんな姿が少しもいやみではなく、とてもチャーミングです。
人気テレビ番組のジョーニー・カーソン・ショーでは、“The most listened to voice in America”といわれ、多くのアメリカ人にとっては聞きなれた声なのです。
“I love New Yorkキャンペーン”の声も手がけ、エンパイヤーステートビルに行くと彼の声を聞くことができますので、皆さん、行く機会がありましたら、耳を澄ませてみてください。
今、80歳ですが、毎日、自転車こぎを6マイル、腹筋運動を300回、バーベル上げを200回こなし、おなかの出ていない立派な体型をキープしています。
こんな努力が彼の美声を保っているのでしょう。
彼は演技だけでなく、絵もプロ並みの腕前です。
毎年のクリスマスカードは彼の手書きの絵です。
彼がメンバーになっているプレイヤーズ・クラブのロビーにも彼の絵がかざられています。
そして、人生の後半になり、彼に素敵なプレゼントが神様から届きました。
独身のジョーさんが70歳のときに娘がいることが分かったのです。
女性に優しいジョーさんはもてたことでしょう。
元の恋人が妊娠し、彼女はそれを彼に告げずに、他の男性と結婚しました。
そして、夫の死後、娘に本当の父親を知らせたくて、彼にコンタクトしてきたのです。
DNA検査もしてジョーさんの娘であると判明し、今では、娘と孫たちと交流し、豊かな人生後半を楽しんでいます。
クリスマスカードに挟まれた写真をご覧ください。
幸せな新しい家族の姿です。
時々、私もディナーに招かれるのですが、いつもきちんとスーツを着て、胸には彼が好きな薔薇の花をさしています。
あるとき、いつもご馳走になっているので、同じアパートに住んでいる友人とジョーさんを私の部屋でのディナーに招待しました。
けれども彼はその週末はカルフォルニアに出張なので、無理という返事が友人を介してありました。
翌朝、私がドアを開けると、なんと真っ赤な薔薇が3本、置かれていました。
薔薇を育てているジョーさんからです。
私はこんなふうに花をもらったのは初めてです。
その薔薇は自然とドライフラワーになり、今でも私のテーブルにあります。
80歳の俳優、ジョーさんがいつまでも元気で仕事ができるのは、このような心遣いとも関係があるような気がするのですが、皆さんはどう思われますか?









