第162回定期演奏会
(7月15日・東京オペラシティコンサートホール)
1曲目は鈴木優人のオルガンソロでディートリヒ・ブクステフーデの《プレリュード ト短調》BuxWV 149が弾かれた。目も覚めるような鮮やかで華麗な作品に驚く。
オルガニストにとってブクステフーデはモーツァルトやベートーヴェンの100倍は重要な作曲家だという(プログラム解説より)。バッハがブクスフーデの作品に憧れた理由がわかる傑作。
続いて、ミーントーンで調律されたバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で、ブクステフーデ《我らがイエスの四肢》BuxWV 75が演奏された。イエスの御足、御膝、御手、御脇腹、御胸、御心、御顔と7つの部分にそれぞれに「寄す」歌詞が歌われていく。各曲の冒頭にはソナタとして前奏曲が演奏される。
ミーントーンのピュアなハーモニーにのせ、文字通り清らかに天国的に音楽は進んでいく。ソリスト5人のソロも素晴らしく、特にソプラノの松井亜希とアルトのテリー・ウェイの声に魅了された。
バッハがブクスフーデの主宰する「夕べの音楽」を聴くために、アウンシュタットから500キロ近く離れたリューベックまで出かけたことは有名なエピソード。バッハに与えた影響の大きさは作品を聴くと納得できた。
後半のJ. S. バッハ:カンタータ第106番《神の時こそいと良き時》BWV 106はバッハの最初期の素朴なカンタータ。葬送のためのカンタータにしては明るい雰囲気の漂う作品で、バッハの意外な一面を知った気がした。
プログラム
D. ブクステフーデ:
《プレリュード ト短調》BuxWV 149
《我らがイエスの四肢》BuxWV 75
J. S. バッハ:
カンタータ第106番《神の時こそいと良き時》BWV 106
指揮・オルガン独奏:鈴木優人
ソプラノ:松井亜希、望月万里亜
アルト:テリー・ウェイ
テノール:櫻田 亮
バス:加耒 徹
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン