(6月24日・調布グリーンホール)
イザベル・ファウストが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は、8年前ノット東響との共演でも聴いていた。
その時以下のようにレヴューを書いたが、読み返してみて、今回の印象もほぼ同じだった。
『彼女の一人舞台と言ってもいいくらい、常に音楽の中心にいた。絹糸のように繊細で美しく磨き抜かれた音。高音の伸びが滑らか。また、スティールのように強靭な線が芯にある。ボウイングは滑らかで、どのフレーズも音楽的。』
https://ameblo.jp/baybay22/entry-12210045510.html
前回も第2楽章に最も感動したが、昨日も第2楽章が最も胸を打った。
ベートーヴェンの高貴な精神をここまで高める演奏に出会うことはファウスト以外には考えられない。
正直な話、感じたものを言葉で表すことが空しくなるほどのインパクトがあった。
第1楽章のカデンツァはティンパニも加わるベートーヴェンがこの曲をピアノ協奏曲に編曲したさいにつくったもの。前回がどうだったか、記憶にないがファウストはオーケストラのトゥッテイにしばしば加わった。そういう時先頭で弾くファウストの音が引き立つだけではなく、N響の音が微妙に変化したことが興味深い。
第2楽章最後の短いカデンツァと第3楽章コーダ前のカデンツァはファウストのオリジナルなのだろうか。
鈴木優人N響の演奏は、若々しくフレッシュな印象。N響は作品を熟知しており、流れがスムーズだった。コンサートマスターは西村尚也。
アンコールはシャルル・オーギュスト・ベリオ作曲、12の情景 作品109 第12番「なぐさめ」。ベリオと言っても現代音楽のルチアーノ・ベリオではない。
シャルル=オーギュスト・ド・ベリオ(Charles-Auguste de Bériot, 1802年2月20日 - 1870年4月8日[1])は、ベルギーのヴァイオリニスト、作曲家。パリでジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ、ピエール・バイヨに学び、各地を演奏旅行、1843年よりブリュッセル音楽院のヴァイオリン教授を務めた。(ウィキペディアより)
かわいらしい小品といった印象。アンコールを告げるさい、ファウストの生声を初めて聞いた。鈴をころがすようなチャーミングな声に彼女の人柄が感じられた。
後半のプログラムはバッハ(ウェーベルン編)「リチェルカータと、シューベルト「交響曲第5番」。6月19日サントリーホールでのN響定期の後半と同じで、演奏内容も重なる部分が多い。
まだN響定期のレヴューを書いていないので、そちらを書き終わったのち、追記します。