ルイージ指揮N響 ブフビンダー(ピアノ)(5月22日・サントリーホール) | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。


ルドルフ・ブフビンダーのブラームス「ピアノ協奏曲第1番」は、第1楽章展開部から調子を上げ、豊かな響き、力強いタッチ、瑞々しい情感がより一層顕著に感じられた。

N響は16型。コンサートマスターは川崎洋介。ルイージの指揮も若々しくしなやかな音をN響から引き出していく。完成した時点でのブラームスは25歳。若書きの作品という観点から見れば、重厚長大な演奏よりも、今日のルイージの方向性が合っているのかもしれない。

 

後半はニルセン「交響曲第2番《4つの気質》」。デンマーク国立交響楽団とニルセンの交響曲6曲を全曲録音しているルイージの得意とする作品。

古代ギリシアの医師ヒポクラテスが分類した四体液質による人間の気質を描いた絵画にインスピレーションを得て書いた交響曲。

 

第1楽章は切れのある演奏。第2楽章は「無気力な粘液質」を表す楽章。繊細だがユーモアも感じさせる。第3楽章は「憂鬱な黒胆汁質」の言葉通り、重々しく進む。響きがどんどん分厚く巨大になっていく後半が聴きごたえがあった。

第4楽章は「陽気で楽観的な多血質」。活気にあふれて進む途中、「陽気な人間も時に熟考する」ところを表す一瞬静かになる部分がある。コーダに向かっては行進曲となるが、どこか田舎臭いような終わり方が面白く、思わずにやりとしてしまった。

 

NHK交響楽団 第2012回定期公演

5月22日(水)サントリーホール

ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品15

ニルセン/交響曲 第2番 ロ短調 作品16「4つの気質」

指揮

ファビオ・ルイージ

ピアノ

ルドルフ・ブフビンダー