インバル指揮都響 ショスタコーヴィチ&バーンスタイン《カディッシュ》 | ベイのコンサート日記

ベイのコンサート日記

音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。

(2月17日・サントリーホール)
昨日2月16日に88歳の誕生日を迎えたインバル。年齢を全く感じさせないエネルギッシュな演奏は驚異的だ。

その内容も凄い。ショスタコーヴィチ「交響曲第9番」は超弩級の名演!

30分という短い曲だが、インバル都響はその中にショスタコーヴィチの全てを濃厚に凝縮した。底知れない闇、死の行進と恐怖、そして狂騒の空虚。都響の集中力は尋常ではなかった。恐るべきショスタコーヴィチ、そして演奏。

 

 

バーンスタイン「交響曲第3番《カディッシュ》」は語り手として出演予定だったジュディス・ピサール、リア・ピサールがやむを得ない事情により来日できなくなり、代わってアメリカの俳優ジェイ・レディモアが語り手として出演。ピサール版ではなく、バーンスタインがテキストを書いたオリジナル版で演奏された。

切れ味鋭いインバルの指揮、新国立劇場合唱団の完璧な合唱と清澄な東京少年少女合唱隊のコーラス、冨平安希子の天国的な歌唱、都響の強烈な集中力が聴き手を圧倒した。

 

ジェイ・レディモアの語りはPAの調整がいまひとつで、高音がきつく感じられた。1月のジョン・アダムズ「アブソリュート・ジェスト」でのエスメ弦楽四重奏団の時のPAの自然さが素晴らしかっただけに残念だ。
個人的には落ち着いた男性の語りの方が好ましかった。ただ、レディモアのRecreate(再創造)の言葉に込めたメッセージは良く伝わってきた。

 

詳しくは「音楽の友」コンサート・レヴューに書きます。

 

写真©都響