(11月10日・サントリーホール)
バッティストーニ指揮による没後130年チャイコフスキー・プログラム。「ロココの主題による変奏曲」以外は全てシェイクスピアの作品に関係したもの。
幻想曲『テンペスト』 Op. 18
劇的で色彩感豊か。バッティストーニの思い切りのいい指揮に、東京フィルもエネルギーを全開させた。
ロココの主題による変奏曲 Op. 33
ソリストは佐藤晴真。4日前にスペインのチェリスト、パブロ・フェランデスでも聴いた。共演のオーケストラは同じ東京フィル、コンサートマスターも同じ三浦章宏、会場も同じサントリーホール。違いは指揮者が高関健だったことと、フェランデスはフィッツハーゲン版だったが、佐藤はチャイコフスキーの原典版を弾いたこと。
2人の演奏は対照的。フェランデスが切れのいいクリアなチェロだったのに対し、佐藤はチェロを朗々と響かせ、艶のあるふくよかな音を奏でる。蠱惑的とも言える美音の佐藤のチェロを聴いていると、呼吸が楽にできる気がする。第3変奏の哀感、第7変奏の美しい歌は佐藤の歌心のある柔らかな響きが良く合う。
バッティストーニ指揮東京フィルは高関健よりも響きがきれいで滑らかだった。定期演奏会なので、リハーサル時間が高関よりも長くとれたのだろう。
佐藤晴真のアンコールは、J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より「サラバンド」。呼吸の深いチェロの音が会場いっぱいに年広がった。
幻想序曲『ハムレット』 Op. 67
バッティストーニはエネルギッシュに、劇的に切れよくすすめていく。輝かしくパワフルな響き。華やかな色彩が感じられる。東京フィルも集中力があり、オーボエのソロも美しかった。
幻想序曲『ロメオとジュリエット』
これも劇的に盛り上がっていった。トランペットの突き抜けるような音色が素晴らしい。緩徐部分は、もう少ししっとりと歌ってもよかったかもしれない。
指揮:アンドレア・バッティストーニ
チェロ:佐藤晴真
東京フィルハーモニー交響楽団
曲目
チャイコフスキー:
幻想曲『テンペスト』 Op. 18
ロココの主題による変奏曲 Op. 33
幻想序曲『ハムレット』 Op. 67
幻想序曲『ロメオとジュリエット』