(8月1日・ミューザ川崎シンフォニーホール)
ベートーヴェン「交響曲第4番」は、流れの良いところと、少し引っかかるようなところがあるように思えた。
一方で、第1楽章の序奏から第1主題に入る颯爽とした動き、再現部、第4楽章展開部の活気あふれる演奏は高揚感があった。
第2、第3楽章はきっちりしているが、聴き手を楽しませる旋律の美しさを強調するというエンタテインメント性がなく、少し物足りない。
楽譜と作曲家に忠実という高関のポリシーが徹底されていたとはいえ、もう少し聴衆を楽しませることも意識していいように思えた。
しかし、その高関の行き方はベートーヴェン「交響曲第2番」では、完成度の高い演奏をもたらした。古典派の枠の中で、できることは全てやりつくすというベートーヴェンのスケールの大きさが、どこにも隙のない堅牢な高関と郡響の演奏により、非常によく表れていた。質実剛健という言葉がふさわしい名演だった。
アンコールはベートーヴェン「バレエ《プロメテウスの創造物》序曲」。歯切れのよい、きっぱりとした演奏。
高関はいつものメガネ姿ではなかったが、マスクをするとレンズが曇るからとのこと。とってみたら、問題ないのでこれからはこれでいくとプレトークで話していた。
高関健©(c)MasahideSato