海外ホール体験 第5回 ミラベル宮殿コンサートとソニーDADC(ザルツブルク) | ベイのコンサート日記

ベイのコンサート日記

音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。

ミュンヘンからザルツブルクまで列車で移動。ホテルは今回の旅の中では一番良かった。「シュロシュメンヒシュタイン」という5つ星のホテルで、中心部から少し離れているが、小さなお城風でカップルにはぴったりだろう。

夜はミラベル宮殿での室内楽コンサートに行ったが、大理石の間という会場の雰囲気を楽しむものであり、演奏はツーリスト向けで印象には残らなかった。祝祭劇場か州立劇場で何かあればよかったのだが。


翌朝タクシーでアニフにあるソニーのプレス工場「DADCオーストリア」に向かう。大賀典雄さんとカラヤンの友情から生まれた工場と言ってもよく、玄関ロビーにはカラヤンのレリーフが飾られていた。

ソニー・ミュージック静岡工場から派遣されていたNさんに工場長ほか主なスタッフを紹介していただき、その後プレスの現場やマスタリングルームを見せてもらった。マスタリングルームのスピーカーの音質がカラっとした響きで印象に残った。

ここでプレスしたCDは音が良いという評判を聞く。たとえばグレン・グールドのオリジナル・ジャケット・コレクションなど日本盤と較べると音にしっとりとした香しさがあり品が良い。マスターテープだけではない環境、技術の違いがあるのかもしれない。

話をするうちにわかったのだが、Nさんは私の長年のゴルフ仲間である静岡工場のYさんと大変親しく、狭い世界で驚いた。昼食は車でリッカルド・ムーティがお気に入りだという川鱒料理の素敵なレストランに案内してもらった。

その後カラヤンのお墓のあるアニフの教会にも連れていってもらったが、素朴で小さな教会の敷地内のそのお墓は、栄光と名声に包まれたカラヤンにしてはつつましく、カラヤンが本当に望んだのは静かでひっそりとしたこの場所だったのだろう。

墓の上にはベルリン・フィルの団員からの花束が置かれていた。