海外ホール体験 第2回「ベルリン・コーミッシェオーパー」(ベルリン) | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。

19924月ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ザルツブルク、ウィーンを巡る旅に出た。


最初の到着地はベルリン。ベルリンの壁がなくなってそのときはまだ2年、ベルガモン博物館近くの建物には第二次大戦の市街戦で飛び交った銃弾の穴を修理した跡があり、旧東ベルリン地区はどこか暗い雰囲気が漂っていた。

フィルハーモニーやベルリンコンツェルトハウス、ベルリン国立歌劇場、ベルリン・ドイツオペラのなかから選んだのはコーミッシェオーパーだった。行く先々のコンサートやオペラについて事前に調べておけばよかったのだが、ネットもない時代、いきあたりばったりの旅であったため、演目や時間で合うものがなくコーミッシェオーパーにしたのだと記憶している。


1947年に建てられた建物の外観は現代的で殺風景だが、内部はクラシックな造りでオペラハウスらしい豪華さもあり、室内オペラを催すにはぴったりの大きさだ。

落成当時から死去する1975年までの芸術総監督はヴァルター・フェルゼンシュタイン。行ったころは鬼才ハリー・クプファーが筆頭の演出家として活躍していた。


演目はそのクプファー演出によるヘンデルの歌劇「ジュスティーノ」。ヘンデルのオペラを観るのも、このオペラがデビュー作となり人気絶頂となっていたカウンターテナー、ヨッヘン・コヴァルスキーを聴くのも初めてだったが、中世ビザンチンの英雄物語がハチャメチャに変身しており、人形劇のような戦闘シーンや馬のぬいぐるみが出てくるなど楽しい舞台だった。ヒロインの女性がなかなか美しかった。ビデオにもなっているので日本に帰ってから求めた。


幕間にはビュッフェでワインなど飲んだが、並んでいる食べ物はなんとなく貧しく、まだ東ベルリンの残滓が残っていたし、トイレも昔の日本の映画館のようできれいではなかった。今は改善されているのではないだろうか。

ベルリン滞在は前夜入りの一日だけで翌日はハンブルクに行くことになる。