愚者はまだカテゴリーになかったと思うので、今日は愚者について書きます。

 

ネットなどの人生相談を見てカードを出してみることがあるんですが、

先日、中学生のお悩みで、

「勉強も運動も何もかも人並みにできない。容姿もダメ。よく、努力すればいいと言うけれど、勉強しても忘れちゃって先生もさじを投げた。どうして自分はみんなと同じことができないのか。」というのがありました。

それで、引いたカードが「愚者」だったんです。

 

マルセイユ版「愚者」

ウエイト版0番「愚者」

 

愚者は、5番「教皇」の「みんなと同じ・人並み」から外れても気にしない人です。

 

カードを引いた瞬間、えー(´Д`;)って思って。

気にすんなって?そんな風に思えないから悩んでいるわけで・・・。

私も物覚えは良くない方なので(タロットもそれで苦労してます)

この相談者さんに、「アホでいいじゃん」とは言いにくいなあ・・・(-.-;)

 

努力以上の初期設定の差というのは、どうしたってあります。

のび太君に生まれたら、のび太君なりの努力はできますが、それでも人並みに届かない。

「人並みっていうのがすでに高すぎる。」

世の中にはそういうことがあると思います。

 

もしこの子が目の前にいたら、どう説明すればいいか・・・としばらく考えていたのですが、その時ふと、

昔読んでいた「本気!」という漫画のセリフが頭に浮かびました。

※ほんきと書いてマジと読む、私たち世代には有名な漫画です。

ヤクザ漫画だし18禁シーンありなのでなかなか気軽にはおススメできないのが残念です(^_^;)

でも本気のセリフには何度も泣かされました。

 

「学校で習った勉強
 すぐ忘れちゃう事ってあるよね。
 悲しい事あったら
 それと同じように
 忘れちゃえばいいです。」  

 

( 立原あゆみ 著 『本気!』12巻 103話 より )

 

うん、こういうのは「愚者」の強みかもしれない・・・と思いました。

 

タロットで0番「愚者」や1番「マジシャン」が出るようなときは、前回をリセットできます。

20番「審判」は、異世界転生アニメみたいな、前世の記憶を持ったままやり直せるチートのイメージがありますが、

「愚者」は前世の記憶を持たない生まれ変わりです。

イヤなことあっても、転んで頭打って忘れちゃった人みたいなことが、このカードが出たらできるんだと思います。

忘れっぽいなら、「忘れ力を活かす」、というのはどうだろう?と思いました。

 

 

 

あと、サブカードで小アルカナも引いてみたら、「ソード7」が出たんですよね。

これは、ちょっとズルするカードです。

ウエイト版「ソード7」

 

そこでまたふと、思い出したのが、

中坊弁護士の著書「金ではなく鉄として」のプロローグの一節です。

 

私はひどい劣等生でもあり、結局、弱いけど秀才というのでも、

勉強はできなかったけど元気というものでもない、両方ともあかん少年だった。

(中略)

自分のような人間は、ほかの人は嫌がってせんようなことでもやらな、生きていけん。

けど、そう覚悟決めたら道はあるのや。


(『金ではなく鉄として』 中坊 公平 (著) より)

 

劣等生と言っても中坊さんは弁護士にまでなったんだし・・と思われる人もいるでしょうが、

タロットで言えば「後半のカードの世界観を知っている人」だということは間違いありません。

弁護士として、行政や大企業や闇の勢力など、世の中の圧倒的強者を向こうに回す闘いを支えたものは、子供の頃の劣等の体験だったといいます。

中坊さんは弱い人がいじめられているのを見ると、「オレのお仲間がやられてる」と思うんだそうです。

占い師も人生の陰の側面が理解できることが必要だと、私のタロットの先生(愛月先生)も言っていましたっけ。

 

「ソード7」なら、

なにもみんなと同じ土俵で、真っ向勝負する必要はない。

 

昔、相撲で舞の海という力士がいましたけれど、立ち合いでの変化で、体の大きな力士にも白星を挙げていました。

立ち合いの変化ってズルみたいに言われることもあるんですよね。

大関以上はやらないとか、がっぷり四つで組めないようじゃ上には行けないとか。

相撲中継を見ていて変化で勝つ力士がいると、解説の親方がよく苦言を呈していた記憶があります。

栃東とかも好きな力士でしたが、言われていましたねえ。

 

「体が小さいんだからしょうがないじゃん」って、私は思っていましたけどね。

それじゃあ、上位は大きい重い人ばかりになるじゃんって。

そんなのお客さんからしたらつまんないって。

 

まあ、相撲のことは精神面とかも含めて言うんでしょうけど・・・

こと、人生においては、がっぷり四つばかりでは乗り切れません。

メイン道路は走れなくても、それだけじゃない。裏道、抜け道、回り道・・・。

メイン道路は混んでるけど、裏道は空いています。

 

5番・教皇の「みんなと同じ」を諦めたら、

きっと「道はある」。

カードがそう伝えているように感じたお悩みでした。