【乱読NO.2754】「冥途の旅はなぜ四十九日なのか 数学者が読み解く仏教世界」柳谷晃(著)(青 | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
お経、しきたり、五重塔…に秘められた目からウロコ!の新発見。
仏教はかくも壮大な世界観を持っていた。

[ 目次 ]
第1章 極楽浄土までの距離に見る、仏教のすごい自然観―仏教的宇宙に秘められた「数学的」世界(なぜ日本の数字と算用数字では「位」の取り方が違うのか 数の表現に大きな影響を与えた「仏教」 ほか)
第2章 五重塔・仏像が教える、計算しつくされた構造―仏教的建築・遺跡に隠された「数学的」世界(大工道具からたぐれる日本人の数学レベル 対称性が生み出す美の巨人たち ほか)
第3章 除夜の鐘を百八回つかねばならない数学的事情―仏教的物語・思想・用語の裏にある「数学的」世界(奈良時代の『万葉集』に隠されている掛け算の九九 掛け算しないとわからない仏教論理に入っている数字 ほか)
第4章 仏教はなぜか2乗の数がお好き?―仏教の歴史に残る「数学的」世界(「五」という数は人間にとって特別の数字 自然の中の記憶に関係しているかもしれない「五」 ほか)
第5章 冥途の旅はなぜ四十九日なのか―仏教的風習・習慣に見る「数学的」世界(法要の数字が教える死後の行き先 古代からあるインド・中国の合理性「十進法」 ほか)

[ 問題提起 ]
本書を一読し、目からウロコが落ちる思いを抱いた人は多いのではないか。

私たちの生活で身近な宗教といえば仏教だが、当たり前とされている事柄にもかかわらず、意外とその理由を知らずにいることが多い。

早い話が、本書の題名「冥途の旅はなぜ四十九日なのか」である。

[ 結論 ]
また、除夜の鐘を百八回つく行為にも実は仏教特有の「数学的世界」が隠れていると著者はいう。

あるいは、仏教建築の五重塔に目を転じれば、そこには現代の最新科学もびっくりの計算し尽くされた設計がなされている。

そんな、私たちになじみ深い仏教思想や習慣などに数学的視点を取り入れて、仏教が本来持っている広大な世界観をわかりやすく解き明かしたのが本書である。

これまでにない、知的冒険に満ちた仏教ガイドといえよう。

本書を読んでいると、仏教が精神的な教えを説く宗教なだけでなく、昔の人たちの鋭い自然観察と豊かな想像力の塊のような教えでもあることがよくわかる。

[ コメント ]
私たちの祖先がこんな豊かな世界観を持って生活していたのかと感動を覚えるとともに、同じ日本人・東洋人であることが誇らしく思えてくる一冊だ。

[ 読了した日 ]
2009年9月16日