[ 内容 ]
ケータイやインターネットに四六時中つながれた現代人に異常事態発生!
いつもイライラ、他人に厳しく、無責任。
ネットでがんじがらめにつながった「IT世間」に群がる日本人の生態に、気鋭のサル学者がメスを入れた「新しい世間論」。
[ 目次 ]
プロローグ
第1章 他者と同化しやすい日本人
第2章 理由付けを求める現代人
第3章 IT世間の出現
第4章 他人を許せないサル
第5章 無責任なネット庶民
エピローグ―IT化する日本の行方
[ 発見(気づき) ]
いやぁ…これを読んでいて、正直、正高氏って凄いな、と思った。
ここまで凄いものは恥ずかしくて出来るもんじゃない。
もう何が凄いって、根拠が全く無いというところ。
本書で出されているデータっていうのは基本的には、どーでも良い部分の数値か『いまどき中学生白書』(魚住絹代著)のようなダメ調査の見本みたいなものだけ。
それもごくごく一部であり、基本的には、「私はこういう光景を見た。そのとき、こう思った。だから、こうなんだ!」というものばかり。
これを妄想といわず、何というのだろうか?
[ 教訓 ]
第2章で、「人間は物事に対して理由を求めたがる。しかし、その理由は必ずしも合理的なものではなく、個人的経験を一般化したりしてしまう」という内容の部分がある。
しかし、正高氏の場合、個人的経験ですらないのだから脱帽だ。
携帯によって、常に世間と繋がっている、ということを妄想で綴った101~104頁の後、携帯犯罪が激増していると述べるのだが、そこにあるデータは、携帯電話の電源をオフにしている時間がどのくらいか、ということと、あとは犯罪の例を2つだけ。
世代別のオフにしている時間より示すべきデータはあるんでないか?
携帯犯罪激増と言いながら、いつからいつまででどのくらい増えたのかはまったく書かれていない。私には真似の出来ないセンスである。
2つほど例を挙げたが、至るところがこのような文章だけだ。
そもそも、本書で正高氏が参考に挙げる正高氏自身の著書『考えないヒト』からして客観的データは皆無の妄想みたいなものである。
妄想を参考にして、さらなる妄想を広げている、と言っても良い。
挙句の果てには、「『考えないヒト』のときより悪化している」と来るし。
[ 一言 ]
本書で、「ネットは匿名だから無責任に書きっぱなしにできる」とあるので、一応、良いところを探そうと思った。
思ったんだけど…無理だわ、これでは・・・。
褒めた内容で書いたんだけど、どうみても皮肉にしかならなかったな。
[ 読了した日 ]
2007年9月17日