【乱読NO.187】「「速く・わかりやすく」書く技術 原稿用紙3枚をラクラク30分!」栗田昌裕( | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
「書くことが苦手」という人は非常に多い。
本書はそんな人が「速く・うまく・わかりやすい」文章を書く力をつけるための本だ。
「速く・うまく・わかりやすい」文章を書く力を速書力と呼ぶ。
速書力を得るには、まず「質よりも量」の戦略を採用して、どんどん書くことだ。
そのためには「生活の中で楽しく書く機会を増やして、習慣化する」ことが大事である。そうすれば、自然に、しかも効率的に速書力を高めることができる。
本書はそれを実行するためのさまざまな工夫やトレーニングを紹介する。

[ 目次 ]
第1章 頭と身体を速書仕様にする
第2章 速書の技をマスターする
第3章 「質より量の原則」で速書を実践する
第4章 「散歩」で速書力をレベルアップ
第5章 情報処理力を磨いて速書力強化
第6章 データベースの蓄積を速書に活かす

[ 発見(気づき) ]
速読ではなく速く書く速書ノウハウ。

著者のSRS能力開発法の営業色もある本だが、個人の情報処理能力を高める一般的な方法論が中心。

医学博士、薬学博士。

東京大学理学部数学科、同医学部医学科卒で医師で教授を兼任。

効率よく知的作業をこなす技には長けていそうな人だということで読んでみた。

この本、実は速く書くことは目的とされていない。

「「スピード」に関しては、「結果として速く書ける」ことを目指すのではなく、「速く書くことを追求する過程で従来とは異なる意識の新しい領域を巻き込む」ことが本質的に重要だ」というスタンス。

書くことで全能力の統合効果を発揮し、潜在能力を開発しようというのがねらい。

2,3のキーワードから文章を書き出す練習方法が紹介されている。

[ 教訓 ]
このやり方はピンときた。私は日々、キーワードメモをベースに、このブログを書いているのだけれど、それとまったく同じだからだ。

たとえば、

「経済、曲がり角」「子供、インターネット」「経験、再雇用」

といった組み合わせでなにか意味のある文章を書いてみよう、であるとか、

「         通り雨          虹    」

というテンプレートの隙間を埋めて文章化してみるという練習。

要集観展創力の6つの要素を重視して文章を書け、と指導している。

要 文章の目的を定める

集 文献や関連情報を集める

観 全体の見取り図を決める

展 具体的な内容を配置する

創 主張の価値や独自性を設定する

力 相手に与えるインパクトを工夫する

文章の文字数が足りないときや、推敲時にチェックリストとして使えそうだ。

速く書く速度については1行40字が目標値とされている。

10分あれば10行、30分あれば30行。

30行は1200字なので原稿用紙3枚書ける計算になる。

1日に3つのニュースにコメントを3行書くという訓練法が紹介されている。

かかる時間は3分である。

ただし毎日続ける。

すると1年間で1000個を超すニュースの要約が蓄積される。

1000件あれば、1年間の世の中の動きについて、自分の視点でコメントし続けた日記は、世の中を俯瞰する世間史であり、同時に自分史になるという。

必ずコメントには日付をつけるのも忘れるなとのこと。

あれ、これって、ほとんどブログではないか?と思った。

「編集の時間最適性の追求」という項で感銘したのが次のノウハウ。

「まとまった時間や集中力がない場合でも、ひとまずおおざっぱなアイデアに従って下書きをしておき、意識下で時間をかけて熟成させて、別なチャンスに編集し完成する方法も有用だ。最初から一気に完成させよう意気込んで取りかかるより、このような2段階方式で行う方が、全体としての作業時間は短縮できることが多い。これは間の活用ともいえる。」

これその通りだなと思う。

集中できないときに、メモ、下書きレベルの部品をいかに作っておけるか、が生産性を左右している気がする。

[ 一言 ]
私が最近編み出したのが「ベスト3の作成」による部品作成。個人的にはかなり役立っている。

混雑した電車で何もできないときや、集中力がないときに1日1回はやるようにしている。
まずテーマを決める。

映画、音楽、書籍の特定テーマのベスト3でもいいし、自分の知り合いの中で最強デザイナーベスト3、最強プログラマーベスト3など、なんでもいい。

手元に雑誌があれば記事のベスト3でもいい。

3つくらいは思い浮かぶ。

順位づけをするには頭を使わねばならないが、好きなものの順位を考えるのは楽しい。

集中力がいまひとつのときでもできる。

1位が1位である理由を考える。

2位と3位の違いを考える。

説明つきのベスト3は、文章の部品として使えるし、雑談でも興味を持ってもらえる。

話しやすい。

ベスト3メモが何百もたまると文章書きにとってはちょっとした情報資産になる。

おおざっぱなアイデアや下書き、メモをどう作り出し、どう蓄積し、どう再利用するか。

そのプロセスをどうITで効率的に進めるか、が、これからどんどん重要になっていくのではないかと思う。

[ 読了した日 ]
2007年5月18日