本日は、ロシア少女兵戦記の第5回目となります。
その前に、ウクライナ避難民の受け入れに関する進捗状況の報告です。
日本政府がウクライナ避難民の受け入れを発表して3週間が経ちました。
私もAirbnb.orgサイトに無償客室を登録しましたが、いまだにオファーもなく宙ぶらりんの状態になっています。
一昨日、出入国在留管理庁に確認したところ、ビザの発行を行っているだけで、避難民の渡航費、日本での交通費、生活費は全て自己負担ということが判明しました。
愛知在住のウクライナ女性イワニェーク・リリアさんが親族を迎えにポーランドまで出向いたところ、帰国便の手配が満席でできなかったり、料金の高騰などでうまくいかず、日本への避難を希望するウクライナ人を代表してポーランドの日本大使館にチャーター便の手配を陳情に行かれました。ところが彼女はにべもなく門前払いされたとのことです。(NHKの報道より)
結局100万円近いお金を払って親族と帰国されたとのこと。私は大変気の毒に思いました。
前述のような形骸化した避難民受け入れ表明がフランスのフィガロ紙の記者に“偽善だ!”とする批判記事まで出ております。
日本国民の一人として誠に情けないと思います。
ロシアに家族を持つ私としては人道的、道義的責任もあって何とか受け入れを実現したいと思っております。
そこで現在情報収集をしております。
幸い、昨日これらの批判を受けて政府官邸は渡航費の国費負担の検討を始めました。
渡航費の問題が解消されれば、本邦への避難を希望するウクライナの若者達が大勢いるとのこと。(前述のリリアさんより)
私も腹をくくろうと思います。
生活費などの国費による支援が見込めない状況であれば、私の私費負担で2名までなら受け入れ可能です。(ゲストルームAを使用)
とりあえず、政府の渡航費に関する正式な発表を待ちたいと思います。
今回ご紹介するロシア女子戦士はスターリングラードで活躍した第1077女子高射砲連隊の75名の少女達です。
ご紹介の前に、これまで当シリーズで登場した6名の女子達(番外編のクラウディアさんも含めて)の内、戦後まで生き残った方3名、戦死した方3名とその運命が分かれました。
この分かれ道になったのは何かを私なりに考えてみました。
以前、軍事ジャーナリストの友人の加藤氏からこんな事を聞きました。
「戦場での取材で命を落とすのは、正義感の強い熱血タイプのジャーナリストだよ。」
6名の女子達はいずれもドイツ軍に多大な損害を与えたのですが、戦死した3人はとにかくナチスへの憎しみが強く、
とにかくできるだけたくさん殺したいという願望に取りつかれていた感じがします。
戦死した3人は正義感が強く熱血だったのです。
そして戦場でもっと大勢殺そうと無理をしました。
家族を虐殺された事への復讐でナチスを殺し続ける、というのはドラマや小説などの設定で、実際にはソ連のプロパガンダによる
ドイツ軍の残虐行為の報道が彼女達をそれ程までに駆り立てていたようなのです。
しかしながら、実際には進撃するドイツ国防軍の指揮官達は占領地での地元民の虐殺は後々厄介な火種になるので禁じていました。
一部のアインザッツグルッペンのようなナチス親衛隊によるユダヤ人狩りなどの残虐行為が大きく報道されていたのでしょう。
十代の少女達が銃を取ってナチスを殺しまくった、という事実をみると、
社会主義国の宣伝効果たるや凄まじいものがあったんだと思いました。
さて、本日登場する少女兵チームはスターリングラードでナチスの精鋭部隊を
壊滅させた第1077高射砲連隊の75名の少女達です。
彼女達はスターリングラードのトラクター工場で勤務する志願兵でした。
年齢は17歳~18歳の少女達で、高校を卒業していない女子もいました。
当時のソ連では女性兵士が対空防衛陣地に多数配備されていたようです。
私もいろいろと調べてみましたが具体的な数字が出てきませんので、ソ連全体でどのくらいの規模で女性砲兵がいたのかは不明です。
いわば狙撃銃の大砲版ですから、男性兵士不足の内地で防空任務に大勢の女子が参加していたと思われます。
どこかの記述に、女の子の部隊ごとにドイツ軍機の撃墜機数を競っていたというのもありました。
彼女達が守備していたのはスターリングラード北郊外のヴォルガ川に近いトラクター工場でした。
このエリアはソ連軍にとって戦力的に最も手薄な場所で、そこを狙ってドイツ軍が侵攻してきたのです。
高射砲連隊の戦力は37mm対空機関砲と85mm高射砲の合計37門でした。(何門づつかは不明)
これらの砲を担当していたのが75名の女子志願兵達でした。
彼女達の他に戦車2両、装甲トラクター3両、それに約400名の工場労働者(男性)による民兵が支援部隊としておりました。
ドイツ軍の先鋒はフォン・ヴィータースハイム大将率いるドイツ国防軍第14装甲軍団の中でも最精鋭のフーベ中将指揮する
第16装甲師団でした。
大戦初期から快進撃を続けてきたこの装甲師団はヒトラー総統のお気に入りでした。
同師団がヴォルガ河近郊から進軍を開始したのは1942年8月23日でした。
ソ連軍の守備が最も手薄なこのラインは簡単に突破できると思われていました。
地上部隊の進撃の前に、ドイツ空軍第4航空艦隊のユンカースJu87急降下爆撃機がメッサーシュミットBf109戦闘機隊に援護されて
彼女達の守る高射砲陣地に爆撃を開始しました。
この高射砲陣地に配備された女子達は志願兵としてわずか数ヶ月前に兵役に就いたばかりでした。
そして対空射撃の訓練のみ受けていましたが、実戦経験ま全く無く、射撃するのも殆どの女子が初めてでした。
「敵機来襲!」
「総員配置に着け!」
指揮官のイワノビッチ・ダホフニク大尉の声が響きます。
Ju87急降下爆撃機があの独特のサイレン音を鳴らしながら降下に入りました。
「いいこと、訓練通りによく狙って撃つわよ!」
「撃て!」
“ズドーン!”
“ズドーン!”
85mm高射砲が火を噴きます。
そして37mm対空機関砲も射撃を開始します。
「撃て!」
“ドッドッドッドッドッドッ!”
機関砲弾がユンカースJu87を直撃し、あっという間に火の玉になりました。
“ヴォーン!”
機体は燃えながら空中分解しました。
「イェ~~!」
「やったね~!」
少女達から黄色い歓声が上がります。
更に
「撃て!」
“ドッドッドッドッドッドッ!”
“ヴォッ!”
“ヴォーン!”
2機目のJu87に命中し空中爆発を起こしました。
「イェ~!」
「やったね!」
またまた少女達は両手を突き上げて喜びに打ち震えます。
すると
1機のメッサーシュミット戦闘機が低空で機銃掃射をかけてきました。
「伏せて!」
“ドドドドドドドドッ!”
対空砲の女子が2名薙ぎ倒されました。
「クソッ!」
「コノヤロ~!」
少女達から怒りの声が上がります。
「アイツ、狙っちゃいなよ!」
攻撃を終えたメッサシュミットは低空から離脱の為上昇を開始します。
そちらの方向に砲身を向けていた対空機関砲座が狙いをつけます。
「撃て!」
“ドッドッドッドッドッドッ!”
“ヴォッ!”
一瞬でオレンジ色の炎の塊になって降下を始めるメッサーシュミット。
“ズヴォーン!”
地面に激突して爆発しました。
「やった、やった~!」
喜ぶ少女達。
「あれ見て!」
1人の少女が上空を指さします。
戦闘機のパイロットは間一髪脱出しパラシュートで降下していました。
「あいつも狙っちゃいなよ!」
誰ともなく叫びます。
17歳の少女がゆっくりとパイロットに照準を合わせます。
そして
「撃て!」
“ドッドッドッドッドッドッ!”
彼女のブーツが射撃ペダルをギュッと踏み込みます。
弾切れになるまでブーツで発射ペダルを踏み続ける彼女。
哀れなドイツ人パイロットは体中を彼女の放った砲弾で無残に撃ち抜かれ、
パラシュートの白い花も弾丸に撃ち抜かれてしぼんだ状態で落下していきました。
「いい気味!」
「ざまあ見ろ!」
舌打ちしながら、惨殺されたパイロットを笑いながら見つめる少女達。
たった今、彼を撃ち殺した少女は、少し呆然とした表情で発射ペダルから脚を離しました。
生まれて初めての戦闘で、生まれて初めて生身の人間を撃ち殺して動揺する彼女。
パチン、と指を鳴らしてニヤつく女子隊員が彼女の浮かない顔に気づきました。
「どうしたの?そんな顔して。」
「わたし、殺しちゃった。」
「だって、あいつわたし達の友達を撃ち殺したんだよ!」
「当然の報いよ。」
「そうよねえ。」
そんなやり取りをしながら次なる攻撃に備える少女達。
第一撃でJu87が4機、Bf109戦闘機が2機、彼女達に撃墜されました。
「いつでも掛かって来い!」
最初の迎撃戦果に気を良くした少女達。
この後更に第二波の爆撃が始まりました。
少女達の落ち着いた射撃は更にJu87を6機、Bf109を2機撃墜しました。
「わたし達って凄くない?」
「14機もやっつけたんだよ!」
「やったね、わたし達!」
いくつかの対空陣地が破壊され、7名の女子隊員が戦死しました。
しかし彼女達の士気は下がるどころか上がっていったのです。
「同志上官殿、敵の戦車隊です!」
前方の平原からドイツ軍装甲師団が進撃を開始するのが目視できたのです。
ドイツ軍側は2回の爆撃で、このか弱い砲兵陣地を完全に潰したと思い込んでいたのです。
「全員、よく聞きなさい!」
「これから我々は高射砲も機関砲も砲身を下げて敵戦車を水平射撃するように!」
「空からの攻撃には応戦せず、弾薬をできるだけ敵装甲部隊攻撃に使いなさい!」
指揮官の命令は完結でした。
しかし、彼女達は地上軍の戦車や車両、兵員に対する攻撃訓練は一切受けていませんでした。
「よく狙えば飛行機より戦車の方が動きが鈍いし狙いやすいわ。」
「前方の戦車。」
「撃て!」
“ズドーン!”
“ヴォーン!”
「やったね、命中!」
「イェ~!」
ドイツ軍の戦車に砲弾が命中し炎上する度に手を突き上げて喜ぶ彼女達だった。
「今度はあの兵員トラックを狙うのよ!」
「撃て!」
“ズヴォーン!”
“ヴァッシューン!”
「やったね!」
85mm砲弾が直撃した兵員トラックは十数名のドイツ兵もろとも
木っ端微塵に吹き飛ばされて消滅しました。
ドイツ兵士の燃えかすが散らばっているのを見て満足そうな彼女達。
ドイツ軍戦車を撃つ度に射撃の制度が上がっていく少女達。
しかしドイツ軍も必死に波状攻撃を仕掛けてきます。
“ヴォヴォーン!”
「キャ~!」
戦車の砲弾をもろに浴びて吹き飛ばされる3名の少女兵。
それを目の当たりにした少女は両耳を抑えてしゃがみ込んでしまいます。
「しっかりしなさい!」
「諦めないで!」
そんな彼女を励まして砲弾を装填する年上の女性砲兵。
「撃て~!」
“ドッドッドッドッドッドッドッ!”
ドイツ軍装甲車とトラック、それに密集隊形で突進する擲弾兵に向かって乱射される機関砲。
少女達の発射した37mm機関砲弾は装甲車を撃ち抜き、トラックを粉砕し、擲弾兵をバタバタと打ち倒していきます。
先程、ドイツ人パイロットを撃ち殺した、
17歳の少女も気を取り直して至近距離に迫ったドイツ軍兵士の一団に向かって、
今度は情け容赦なく機関砲弾を撃ち込みます。
「全滅なさい!」
彼女のブーツが再び発射ペダルを強く踏み込みます。
''ドッドッドッドッドッドッドッ'!'
あっという間に数十人のドイツ兵が
薙ぎ倒されました。
「思い知ったか!」
累々と横たわるドイツ軍兵士の死体に向かって叫ぶ彼女。
凄まじい砲火の応酬になりました。
そんな中、女子砲兵達は1人、また1人と撃ち抜かれ、爆発で吹き飛ばされて討ち死にしていきます。
彼女達の獅子奮迅の闘いぶりは凄まじく、丸2日間ドイツ軍の進撃を食い止めました。
そして、手薄だったこの地域での彼女達の頑強な抵抗によって、
ソ連軍のエレメンコ将軍によるスターリングラード防衛の為の
組織編制に2日間という貴重な時間を提供したのです。
この結果ドイツ軍はスターリングラード占領に初期の段階でつまづき、やがて包囲殲滅されることに繋がっていったのです。
この第1077高射砲連隊の少女達の挙げた戦果はドイツ空軍機14機撃墜。
第16装甲師団の戦車83両撃破、トラックや装甲車などの車両15両撃破、
タンク車2台破壊、兵員約4500名(3個大隊分)の殺害でした。
これに対する高射砲連隊の損害は高射砲全37門壊滅。
戦死者は女子75名中45名戦死。
また、支援に回っていた工場労働者の民兵部隊も391名が戦死しました。
犠牲になった45名の少女の内42名が17歳~18歳でした。
この高射砲陣地を占領したドイツ軍部隊の将兵達は陣地内で戦死していた少女達の
遺体を目の当たりにして、自分達に大損害を与えたのが、この若い十代の少女達だった事に、
大変驚きひどく憂鬱な気持ちになったそうです。
スターリングラード攻撃の初日から大きな損害を出して足踏み状態に陥った事に激怒したヒトラー総統は
第14装甲軍団司令官のフォン・ヴィータースハイム大将を解任しました。
水平射撃でドイツ軍戦車を狙い撃ちにする少女兵士達。 37mm機関砲で対空射撃態勢に入る少女兵士達。
85mm高射砲の前での少女兵士達。 ドイツ軍戦車部隊との距離を観測する少女兵士達。
高射砲連隊のニーナ・アファナスヴェーニャさん















