あの日のこと 2 | お馬さん日和

お馬さん日和

2018年まで一緒だった黒い愛馬との思い出と、
2019年から一緒になった白い愛馬とのこれから。

あと、ヲタク少々。

続きです。

 

馬の怪我や死について触れているので、

そういうのがダメな方は

これ以上読み進めないようお願いします。

 

 

 

 

 

 

三本肢でこちらに寄ってくる様を見ても、

薄情なことに

 

「何をおおげさなー」

 

「ほら、痛くないから肢つけてごらん」

 

と言いながらミスティを迎える私。

というのも、

先代の我が家の愛馬が放牧場で暴れて柵で足をぶつけ、

ジーンとしびれてしばらく肢を地面に付けなかった場面を

見たことがあったので、

それと同じようなものだろうと考えていたからです。

が、

そんな浅はかな考えは、

近寄ってきたミスティの左前肢を見て消え去りました。

 

球節に見たことない筋が浮かび上がり、

繋から下が内側に曲がってる。

 

素人目に見ても尋常ではないことが理解できます。

すぐに獣医さんに連絡をし、

この日は非番だったけど

近くに住むベテラン馬職員さんにも来てもらいました。

主人にも、覚悟してほしいと電話しました。

ベテランさんは「脱臼かな」と言ってくれてたけど、

きっとそれは私を絶望させないための優しい嘘だったのでしょう。

 

 

 

いつもお世話になってる獣医さんが

1時間後くらいに到着して、診療してもらいました。

結果は、

 

第一趾骨の骨折。

 

単純な骨折ではないのでネジで留めることもできず、

ギプス等で固定しても骨がくっつくのは奇跡的な確率。

くっついたとしても歩くのがやっと。

それまでに、

他に負重された肢がダメになる場合がほとんど。

痛み止めの飲み薬は通常の倍を投与。

(ちなみに初めて見る痛み止めの薬でした)

エサは今まで通りで構わない。

といった説明もしてもらいました。

 

 

 

今までの乗馬ライフの中で、

蹄葉炎や屈腱炎で苦しむ馬を見てきました。

 

すさまじい苦痛と戦い続ける壮絶なさまは、

私の目から見て不幸でしかありませんでした。

 

痛くて立ち上がれなくて寝たきりだけど

口元に草を持っていったら食べるさまを見て、

「ほら、この子はまだ生きたいのよ」

と延命させる思考は私の中にはありません。

 

 

 

先代の愛馬が生きていた頃から、

ある一定以上の苦しみが続くのなら

 

楽しにてやろう

 

というのが我が家での決まり事でした。

 

 

 

生きている間にもう一度主人とも触れ合ってほしかったので、

ミスティには痛くて辛い思いを少し長引かせてしまうけど、

獣医さんや引き取り業者さんの都合上、

翌朝に安楽死をすることにしました。

 

午後には半休をとった主人がミスティに付き添い、

事務員さんが人参を食べさせてくれたり、

ベテラン職員さんや管理責任者さんが厩務作業を手伝ってくださって、

合間合間にミスティを撫でてやることができました。

 

 

簡易固定してもらっても左前肢を地面につけることはできず、

馬場に近い厩舎にオガを敷いて馬房を作ったけど

その場から一歩も動かすことができないので、

馬場で最後の夜を過ごすことになりました。

我が家の自馬になる前にいたところでは、

雨が降ろうが雪が積もろうが

裸のまま昼夜放牧されてたミスティですが、

今も馬着は着せてないけど舎飼いになってるので

さすがに馬着は着せました。

先代の愛馬には少し小さかったオレンジ色の薄馬衣です。

 

生涯はじめての、そして最後の馬着姿。

 

真っ白な馬体に鮮やかなオレンジ色がよく映えていました。

 

 

 

家の仕事があるのでいったん帰宅。

晩ごはんと一緒に

明日お供えする仏花や果物なども買ってたので、

人間って意外と冷静でいられるものなんですね。

 

続きます。