年末のことです。
大堂海岸の開拓者であるKさんとともに、大堂海岸とその周辺で3本の新ルートを登りました。
一つ目は、大堂海岸とはちょっと離れた位置にある、おそらく誰も登ったことのないだろう壁。
秋に偵察に訪れていたKさんが見つけ、「ちょっと脆そうだけど、アルパインと思えば行けなくもないか?」ということで行ってみました。
取り付きに降りるには、壁に向かって小さな湾の反対面からラペルします。
ラペル中、そして取り付きに降りてから、しばらく壁を眺めました。
ラインは比較的明瞭な一連のコーナーですが、中間部に明らかに風化して脆そうな箇所があり、そこを如何に回避するかが最初のポイントになりそうでした。
そして鎌形のルーフ内はどうなっているのか?プロテクションは取れるのか?ルーフの抜け口付近もボロそうだな…と不安要素は尽きません。
未登のラインなので葛藤があるのは当然。
まあ行けるところまで行って見ようという思い(ヤバくなる前に引き返せるラインを常に意識しながら登ろうという思い)で取り付きました。
1P目は技術的には易しかったですが、脆い箇所を回避するのに、ラインどりに少し迷いました。
結果的にまあいい感じのライン取りになったと思います。
2P目はトラバースしてコーナーに戻り、表面の風化したコーナークラックからルーフ内部に侵入。
ルーフは想像通りかそれ以上に巨大で、出だし付近から難しく、クライムダウンでは引き返せなくなる可能性が高かったので、このまま進んで良いものか葛藤しましたが、ジリジリ進むことを選択しました。
結果として素晴らしい形状が隠されており、ルートとして完成されていました。
ルーフを抜けてからは、プロテクションが取れるところを探しつつ小レッジでピッチを切りました。
完全な初見で、このようなルートに登れたことを幸せに感じます。
興奮冷めやらぬまま、ふと海を眺めると、2匹のウミガメが並んで泳いでいました。
3P目は、ほんの少し残りの岩を登ってから樹林帯へ突入し、しばらく登ったところでピッチを切りました。
他人にオススメは出来ませんが、最高のクライミングでした!!
パートナーのKさん、ありがとうございました!!
「亀の思い出」
1P 45m 5.8
2P 35m 5.10+
3P 35m (10m easy + 25m 樹林帯)