季節的にはまだまだ大堂のシーズン中ですが、家庭の事情により今シーズンの大堂は終了したので、今シーズンの大堂をまとめてみることにしました。

 

昨シーズンからですが、ありがたいことに四国のクラック仲間がちょっと増えたことにより、ソロ以外で大堂に訪れる機会が増えました。

やはり限界に近いクライミング、特に初見ではビレイヤーにビレイしてもらえるのはかなりアドバンテージになります。

逆に言えば、そうでないルートはソロで登ることによって充実感が増して楽しめることもあるのですが。

 

そんな中で少し成果らしい成果といえば、まず前傾壁エリアの『カイオウ 5.10d』のRP。

『カイオウ』は、大堂、否、西日本を代表するワイドクラックと言っても過言ではないでしょう。

すごく寒い日でしたが、濡れていることの多いこのルートが珍しく乾いていたのでトライしました。

昨年、濡れている時にトライしてど敗退を喫していただけに自信はなかったのですが、やっぱり濡れてると乾いてるとじゃ大違いでした。

 

年末のある日、現在東北在住の大堂レジェンドのKさんの案内で取り付いた未登壁。

50mスケールでこの規模では大堂に残された最後の未登壁と思われます。

この壁で丸一日かけて4本のルートを登りましたが、うち2本はRPしていません。

また来シーズン以降の宿題です。

 

そして、今シーズン一番の成果は昨シーズンからトライしていた『大ルーフ・ダイレクト 5.13a』のRP。

水平クラックで終了する『大ルーフ 5.11c』から、その上約3mのフェースを登ってトップアウトする課題で『大ルーフ』の完成形です。

初登は杉野保氏。

 

昨年の杉野さんの訃報は衝撃的でした。

その日はもともと大堂に行く予定で、朝5時前に目を覚ましてスマホを確認したところクライマー仲間からメッセージが入っていました。

僕はその1週間前に杉野さんにお会いしていたところで、にわかに信じられずメッセージの内容を理解するまでにしばらく時間がかかりました。

何もやる気が起きなくなって7時くらいまでぼーっとしていましたが、ふと『大ルーフ・ダイレクト』のことが頭に浮び、重い腰を上げて大堂に向かいました。

その日は、一人でトップロープを張って核心のムーブをチェックしました。

 

それから10ヶ月と少し経って、ようやくRPできました。

 

(個人的)シーズンも残りわずかとなった1月下旬。

今シーズン何度かトライしたものの登れていなかった、超最果てエリアの『太陽の地図 5.11c』が登れました。

このルートはナバラーのヤブくん初登で、当初11bというグレーディングでした。

僕にとっては非常に厳しく感じられたルートで、体感的には11d以上でした。

 

今シーズンは、クラック仲間に感謝のシーズンでした。

 

 

 

 

 

 

石鎚山系瓶ヶ森の西壁(地図上では南向きに見えるのですが昔から西壁と呼ばれています。)で、新ルートを登りました。

単独、グラウンドアップです。


登攀ラインは右岩壁の中央にあるクラックを辿ります。
下部30mは前傾、その上もほぼ垂直と、この手のルートとしては傾斜が比較的強く、また岩質は礫岩で脆いため、予想以上に苦戦を強いられ、結果としてトップアウトまでに計3日通うこととなりました。
プロテクションはカムが主体ですが、ボルトも計3本使用しました。
また一部に人工登攀(A1)の箇所も残りましたが、グラウンドアップによる開拓であることと岩質の問題から、スタイルについては概ね納得しています。

なお、この壁には既成のルートが2本ありますが、いずれも傾斜の強いフェースに50本以上のボルトを連打して拓かれたボルトラダーです。(うち一本はフリー化されています。)
この壁に新たにルートを引くならどう登るべきか?と考えた結果、今回のルートになりました。
以下ルート概要。

1P目、立木を利用してコーナークラックを登り、傾斜の変わり目で左のクラックへ移る。
続いて薄被りのクラック・カンテを数m登り、被りがキツくなる手前で右へトラバースし、右のコーナークラックへ移る。
この上の最もハングしたコーナークラックは今回カムエイドで越えた。
ハングを抜けるとチムニーが待っている。
チムニーを10mほど登りレッジに出たら、スラブを右へトラバースする。
トラバース手前でボルトを1本使用。
右のコーナーに移り、その上のレッジで1P目終了。
ボルト1本と奥のクラックからカムでバックアップをとってビレー点とした。

2P目、ビレー点奥のワイドコーナークラックに取り付き、10mほどで草付きのレッジに出る。
ここから上の垂直の草付きが非常に脆く不安定で、2度目のトライではここで敗退している。
結局3度目のトライの際、ここでもボルトを1本打ち(ただし岩自体がとても脆いのでボルトの信頼性は低い。)、頼りない灌木から伸ばしたランナーと分散してプロテクションとして先へ進んだ。
レッジからやや右寄りを登り、途中で左方に生えた少し太めの灌木を目指したが、岩が脆すぎたためホールドを壊しながら落ちる前に立木に飛び移るというかなり際どいものだった。
ビレー点に小落石が降り注いでいたと思うので、ビレイヤーがいなくてホントに良かった。


瓶の一滴 5.10-, A1 80m
1P 5.10- A1 50m
2P 5.8? 30m


2020年10月28日 完登

 

 

 

 

 

 

年末のことの続きです。

Kさんと共に、大堂海岸の最果てエリアで新ルートを登りました。

 

ラインは「迷い道くねくね」よりさらに左で、取り付きのテラスは他から独立しているため、ラペルラインもS.A.M.等とは異なります。

 

1P目、出だしから厳しいフィンガーチップレイバック。結構本気で落ちそうでした。

そこを超えればしばらくは易しいルンゼ状。

ルンゼ状から、右上の風化したハングの下をイヤらしいトラバースで右に抜け、ロープの流れが悪くならない範囲でピッチを切りました。

 

 

 

2P目、2段ハングを露出間のあるムーブで右上気味に抜け、その上のフェースに走る3本クラックを登って真上のテラスまで。

3本クラックのセクションは、クラックのサイズがほどほどに悪く、ルート中の核心かと思われます。

 

3P目は、最初からまっすぐ上に抜けても良かったのですが、弱点をつく形で右に巻いてから直上。

最後はコーナーを抜けて樹林帯に入って終了。

 

パパパイオニア

1P 5.10c 30m

2P 5.10d 25m

3P 5.8 25m

 

 

もう一つ、東のエリア(柿羊羹側)で昨シーズンから目をつけていたプロジェクトを登りました。

数日前、一人で下見に入り、今回はKさんのビレーで初めてリードでトライしました。

下見の時点では、個々のムーブをこなすことも難しく感じたので、時間がかかるものと思っていましたが、持てる力を出し切って、なんとか1トライ目でRPできました。

 

 

グレーディングは一応5.11dとします。

大堂で11dというと、最高レベルのグレードですので、ちょっと挑戦的なグレーディングです。

ぜひ誰かに再登してもらって、意見を聞きたいところです。

 

New Old Line 5.11d 30m