石鎚山系瓶ヶ森の西壁(地図上では南向きに見えるのですが昔から西壁と呼ばれています。)で、新ルートを登りました。

単独、グラウンドアップです。


登攀ラインは右岩壁の中央にあるクラックを辿ります。
下部30mは前傾、その上もほぼ垂直と、この手のルートとしては傾斜が比較的強く、また岩質は礫岩で脆いため、予想以上に苦戦を強いられ、結果としてトップアウトまでに計3日通うこととなりました。
プロテクションはカムが主体ですが、ボルトも計3本使用しました。
また一部に人工登攀(A1)の箇所も残りましたが、グラウンドアップによる開拓であることと岩質の問題から、スタイルについては概ね納得しています。

なお、この壁には既成のルートが2本ありますが、いずれも傾斜の強いフェースに50本以上のボルトを連打して拓かれたボルトラダーです。(うち一本はフリー化されています。)
この壁に新たにルートを引くならどう登るべきか?と考えた結果、今回のルートになりました。
以下ルート概要。

1P目、立木を利用してコーナークラックを登り、傾斜の変わり目で左のクラックへ移る。
続いて薄被りのクラック・カンテを数m登り、被りがキツくなる手前で右へトラバースし、右のコーナークラックへ移る。
この上の最もハングしたコーナークラックは今回カムエイドで越えた。
ハングを抜けるとチムニーが待っている。
チムニーを10mほど登りレッジに出たら、スラブを右へトラバースする。
トラバース手前でボルトを1本使用。
右のコーナーに移り、その上のレッジで1P目終了。
ボルト1本と奥のクラックからカムでバックアップをとってビレー点とした。

2P目、ビレー点奥のワイドコーナークラックに取り付き、10mほどで草付きのレッジに出る。
ここから上の垂直の草付きが非常に脆く不安定で、2度目のトライではここで敗退している。
結局3度目のトライの際、ここでもボルトを1本打ち(ただし岩自体がとても脆いのでボルトの信頼性は低い。)、頼りない灌木から伸ばしたランナーと分散してプロテクションとして先へ進んだ。
レッジからやや右寄りを登り、途中で左方に生えた少し太めの灌木を目指したが、岩が脆すぎたためホールドを壊しながら落ちる前に立木に飛び移るというかなり際どいものだった。
ビレー点に小落石が降り注いでいたと思うので、ビレイヤーがいなくてホントに良かった。


瓶の一滴 5.10-, A1 80m
1P 5.10- A1 50m
2P 5.8? 30m


2020年10月28日 完登