耳をすませば | Zatolog

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つれづれなるまゝに、日暮らし、硯に向ひて、心に移り行くよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、怪しうこそ物狂ほしけれ。

日々感じたことを、忘れずに、共有し、共感し、共生したい。

耳をすませば@Amazon prime video


この映画はなんなのだろうか、、、


『耳をすませば』といえば、スタジオジブリ製作のアニメーション映画であった。

聖蹟桜ヶ丘に住む中学生・月島雫と天沢聖司の夢と初恋を描いた作品だ。

そして、その元々は柊あおい作の漫画であった。


今回の実写化はアニメ映画の続編という位置付けである。

ただし、聖司はアニメ版ではバイオリンを作る職人を目指していたが、今作ではチェロ奏者になっている。

原作漫画での聖司の夢は画家だ。

2人の思い出の曲は、「カントリー・ロード」ではなく「翼をください」になっている。

それなのに、冒頭ではアニメ映画のシーンを実写化した回想がインサートされ、台詞とキャラクター造形はまさにジブリのそれと同一である。


で、だ。

これはどこに向けた映画なんだろうか。

ジブリファンにはすんなり受け入れられず、原作へのリスペクトというわけでもない。


主人公の雫は作家を夢見るが、まずは手堅くということなのか出版社で児童書の編集者になっている。

物語を書くことはやめてはいないが、上手くいっていない様子は見て取れる。

そりゃそうだ。

なりたい職業を支える職についてどうする。

安全パイをとって就職を選んだ時点で、もはや夢への道が遠のいているのではないか。

しかも一番ニアリーかつファーサイドな職ではないか。

野球選手になりたいのに、球団職員から始めようと思う人がいるだろうか。

甘い、甘すぎる。


そしてとにかく、時間と空間の使い方が壊滅的である。

10年間遠距離恋愛を続ける純愛と言うが、ビザの都合上数年に一度は帰国しなければならないはずで、

そういう時に関係性が詰まらないはずがない。

劇中、心身ともに限界に達した雫はイタリアまで聖司に会いに行くのだが、結局一旦は別れることを選択する。

自宅に戻ってから溢れる涙が、、、という描写があるのだが、この世界は日本からイタリアは電車で一駅くらいの距離なのだろうか。

飛行機の中でひとりぼっちの時間もあるだろうに、その時に感傷的にならない人間がいるのだろうか。


欠陥だらけの二次創作という感覚だ。


目標まで、あと81本。