
ここ数年、ユーロ安が続き、在仏華人の生活は苦しくなるばかり。
中国へ帰ることを考えるようになった華人も少なくない。
しかし、長年フランスで暮らしながら正式な居留許可を得ていない華人たちにとって、「帰国」という言葉は希望でもありタブーでもある。
帰国すれば、その後の生活は今よりも楽になると分かってはいるものの、成功せずして帰国することに大きな精神的苦痛を感じる。
10年前により良い生活を求めて中国浙江省温州市からフランスへ不法入国した張さん夫妻は、60歳を超えた今も居留許可が下りずに暮らしている。
フランス語が上手ではない張さん夫婦は縫製の下請けをして、わずかな収入を得ている。
その生活は決して楽なものではない。
最近は下請けの仕事も減る一方で、中国に残した2人の子供からは「早く帰ってきて」と催促されるようになった。
張さんの奥さんは「10年前に故郷は台風の被害に遭って、働いていた工場は崩壊。仕事を無くしてしまったので、まず夫が先にフランスへ渡った。その後、私は夫の元へ行こうとしたが、周りの猛反対に遭った。彼らは『あまりにもリスクが大きい』と言って私を説得しようとしたが、私はどんな困難でも努力すればきっと報われると思っていた」と話す。
中国人にとってフランスは美しい国であり、お金の稼げる場所でもある。
成功を収めた華人も多い。
張さん夫婦が住んでいるパリ郊外の地区には華人が多く、お互いに助け合って生きている。
張さんの夢はそんな彼らと商店を開くことだが、居留許可が下りなければそれもかなわない。
中国が急速に発展し、豊かになったことを彼らはうらやましく思っている。
彼らはすでにフランスに根を下ろした「樹木」だ。
しかし、その「樹木」は今、苦しい現実に直面して大きく揺れ動いている。
2013年6月2日
[独仏共同出資TV・アルテ(Arte)]