細雪 | バステトの本ブログ

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 こんにちは。今日は東京は良い天気です。東京タワーの赤が眩しい。。
 そしてまたやってしまいました。どうしてこう、突然時代を遡る小説を手に取ってしまうのか・・・。
もう自分の読書センスにお手上げ状態です。
 
谷崎潤一郎著 (新潮文庫) 『細雪』
 内容:関西の、次第に傾いてくる名家の様子を主に四姉妹(鶴子、幸子、雪子、妙子)の次女幸子の視点を中心にして描かれている作品。 30歳過ぎても結婚が決まらない三女雪子のお見合い、四女妙子(こいさん)の巻き起こす男性関係などが物語りの中心。 当時の上流階級の日常や風習がまるで絵をみているように鮮やかに描かれている


 日本風のブルジョアの日常風景。
 例えば細雪の上巻、幸子が雪子のお見合いの為に鏡に向かって身支度をしている。 合わせ鏡がカチリとなる。
「こいさん。頼むわ」 とおしろいの刷毛を渡す幸子。

 着物や帯を部屋いっぱいに広げ、ああでもない、こうでもない といくつも畳の上に広げるシーン。

平安神宮への花見、名古屋への蛍狩り。

 ちょっとしたランチや急速場所として利用するホテルの贅沢さがあまりにさりげなく、そして品よく描かれていて、文章を読む というよりも華やかな絵巻物を見ているような感覚になります。

 この小説では(傾いているとはいえ)名家の四姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が出てくるわけですが、鶴子、幸子、雪子は裕福な家に嫁ぎ家庭の中で守られて生きていくのが人生の幸せという考え・価値観に縛られているのですが、末妹の妙子だけが自力で人生を切り開こうとする“新しい女性”。
けれど、傾いているとはいえ、名家のプライドがあるため妙子は姉妹や親戚、周囲からの冷たい視線を受けます。

戦争を間に入れての昭和18年から24年にかけて描かれているので、日本の古い時代から新しい時代への価値観の変化がこの四姉妹を通しても描かれているのだと思います。 谷崎氏も妙子のような”新しい価値観を持った女性”を好意的に描いているとは思いきや、ラストで妙子は同棲していた男の子を身ごもり、死産してしまうという結末にしてい、この当時の“新しい女性”に対する偏見が現れています。

女性が働く(職業婦人)というのは貧しい人達がやることであって、名家からそんな女性を出すことは家の恥さらしだと思われていたのですね。

 一方雪子の方は無事に縁談がまとまって幸せに向かって進んでいきます。

 雪子と妙子はまるで光と影のような対称的なラストで物語は終わる


 結婚や仕事に対しての考えの差はあれど、失われてしまった日本の独自の華やかさ、絢爛さがこの小説からは漂ってきます。それに谷崎氏が書く日本語はとても美しく、この作品を日本語で読めることがとても贅沢なことに思えます。