超常現象好きは昔から | basser-t-0407さんのブログ

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こんばんは。

関東は一昨日から一気に冷えました。その一昨日の夜、強烈に三度脚が攣ったりして、夜ごと恐怖を抱く者です。

さてさて、恐怖といえばホラー、スリラー、怪奇、そして超常現象なんでございます。

オイラがそのテのものに惹かれることを自覚した一番古い記憶は、テレビ番組「悪魔くん」でしょうか。水木しげる御大原作のマンガを東映が特撮怪奇ものとして実写で映像化したアレです。
仲間から悪魔くんと呼ばれている少年真吾が、偶然出会ったファウスト博士の導きにより地獄の魔法使いメフィストと契約、バディとして毎回登場する妖の化物を退治して怪事件を解決するという物語。
マネキン妖怪が登場する第6話「首人形」が、怖かったけどとにかく一番好きで、再放送があるたびにそれだけは見逃すまいとしたっけなー。
「いひひひひひひぃ〜」
もちろんウルトラQからウルトラマンへの王道も観てましたし、マグマ大使も言わずもがな、でしたけど。
小学校へ入る頃にはゲゲゲの鬼太郎、ウルトラセブンの後には怪奇大作戦、ウルトラマンを描いてたけど実はこちらが本流ミイラ先生で楳図かずおに囚われる、てな具合で「怖いもの」が好き、「怖いもの見たい」とアンテナの感度が上がり始めます。
やがては親と一緒に東京12チャンネル(現テレ東)の「日本怪談劇場」を毎夏見たりする変なガキ(いや、変じゃない)となりました。

そんなオイラが、それまでに知らなかった衝撃的な「アイテム」と出会うのが1971年の夏。基本的(?)には「帰ってきたウルトラマン」や「仮面ライダー」にズッポリだった頃。

同世代の方御記憶にあるでしょう、水曜日の晩9時からの日テレ、東芝1社提供の「特ダネ登場!」って30分番組。
押坂忍が司会の公開番組で、その時々のやや変わった話題について、関連した人物やアイテムをスタジオに登場させ紹介する(しかもクイズ形式で「何のネタか」をゲストに当てさせる)という、ワイドショーをあらぬ方向へ発展させたような独特のテイストの番組でした。
で、夏場には例によって「怪奇特集」の回があるわけです(後で知ったけど構成が新倉イワオだったのね、「あなたの知らない世界」の)。
で1971年の夏のそれ。新聞のテレビ欄で「怪奇特集」だと知り、その晩親父の帰りが遅いのをこれ幸いと、親父の部屋でひとりで見てしまいました。まさしく、「見てしまった」という感じ。

その晩紹介された三つのネタのうちのひとつが残念ながら思い出せません(汗)。なんせ半世紀近く前なので、御容赦を。

ひとつは、ある町工場で、敷地内に現れた大きな蛇にひとりの工員がガソリンをかけ火を放ち殺してしまったところ、その祟りか「蛇の姿が浮かび上がった」という工場でプレスした鉄板の紹介。蛇を殺した件の工員はその後大怪我をしたとか。

そしてもうひとつは、日光華厳の滝で観光客が撮影した1枚のスナップ写真。
滝を正面から捉えたその写真に浮かぶいくつかの人の顔!
そう、今にいう「心霊写真」です。当時は何て呼んでたかなー、思い出せませんが、「霊魂の写ってしまった写真」として紹介されたことは間違いない。
それがまた素晴らしいクォリティのもので、物凄く怖かったんですよ。オイラそれまでに「心霊写真」なんて知らなくて、そういう現象、そんな概念、そんなアイテムがあることをそのとき初めて知った。
で、そのとき「霊魂が写真に写る」ことがこの世には実際に起こる「現象」であり「事実」である、ってな風に刷り込まれてしまったわけです、オイラには。
なかなかに怖かったこの番組、色々感謝したいです。マジで。

その秋、さらなる恐怖、というより愉悦がオイラを襲う。
中岡俊哉との出会いです。邂逅と言ってもいい(爆笑)。

…当時の町の本屋さんって個人商店がほとんどで、学年誌(学習誌)や月刊の婦人誌なんかを定期購読者に配達したりして商売を成立させてた。今だと遥かに大きな流通の組織からダイレクトに近い形で届いちゃうけど。
で、今みたいに平積みのベストセラーで利を稼ぎ、売れない本はすぐ返品、なんて商売の仕方ではないから、ガンガン売れるようなものでなくても、ある程度定番化した児童書やコミックとかがずっと棚にあったりしたのね。

遥か昔には月刊誌「冒険王」を発行していた、子供の本の秋田書店。今は少年チャンピオンしか思い出せないけど、かつてはいろんな漫画家について単行本化の版権を獲得しており、「サンデーコミックス」レーベルから相当な数の作品をリリースしてた。楳図かずおの作品など、いっときは独占状態でしたよね。

さてその秋田書店、マンガ以外にも力を入れていたのが「児童書」というか必ずしも文学ではない子供向けの読み物。
先年復刻された「怪獣ウルトラ図鑑」(大伴昌司)もラインナップに含む「写真で見る世界シリーズ」(シリーズ中、中岡俊哉名義の「世界の怪獣」と「続・世界の怪獣」はいわゆるトンデモ本ともいうべき珍書)とか、オイラがかつて「ボクシングファン(残念ながら紛失)」とか「ボクシング入門(これはまだ手元にある)」を購入したソフトカバーとハードカバー2系統のラインに分かれた入門書シリーズなんてのもありまして。

そんな秋田書店の児童書の中に、ひときわオイラの琴線振るわすシリーズがあった。
(写真は借り物です)
「世界怪奇スリラー全集」全6巻。初版はオイラが幼稚園児の頃だった。「冒険王」に広告が載ってて知ったんだと思う。
豪華箱入り上製本、当時は1巻390円。サンデーコミックスが1巻240円の時代だから、ビンボーな齢一桁のガキではまず手が出せない。家の近所の本屋の棚にも並んでた。
で、1971年の秋が深まる頃、遂に1冊買いました。上の画像にある第5巻、「世界の怪奇スリラー」。著者は巨匠(笑)中岡俊哉。
表紙の小さなカットは宇宙人ものか?てな感じなんだけれど、中身はほぼ幽霊話。何故か「ヒマラヤの雪女」なんてイエティもどきのUMAの話も収録(これに登場する父子が2人とも死んでしまうんだけど、会話まで再現してストーリーが語られるし、挿絵まである。誰が目撃したんだw)。現在手元にないので記憶だけを頼りに語っておりますが、何度も繰り返し読んだからある程度は正しく憶えてる自信があったりします。

で、たしか三部か四部に分かれた構成で、第一部は「東京の怪談」。東京に伝わる怪談・奇談を集めたもの。とっかかりのお話が「木の像が子供を呑んだ」。新宿の太宗寺で大正時代に起きた怪事件。
ーこのお寺には木彫りの大きな閻魔さまと奪衣婆の像があり、かねてから有名。広い境内はいつも人で賑わい、子供たちも走り回って遊んでいた。
ある日の夕方、孫の子守でやってきたお婆さん、孫の男の子を走り回らせるのはいいが自分はベンチに腰掛け居眠りを始めてしまう。
しばらくすると、辺りの人には奪衣婆の像の前で、大きな影がふわっと宙に浮いたように見えた。
直後、目を覚ました婆さんが騒ぎ出す。
「孫が、孫がいない。どこへ行った?」
辺りの人が奪衣婆の像を見上げると、その大きな口から子供の腰から下が覗いていて、二本の足をばたつかせている。悲鳴が上がった。
あまりのことに、居合わせた人もなすすべなく呆然と眺めていると、やがて奪衣婆はすっかり子供の体を飲み込んでしまった。
その口の端からは子供の着物の帯が垂れ下がり、どす黒い血が滴った。
「この化け物!孫を、孫を返せっ!」と婆さんは像を叩き泣き叫ぶが、どうにもならない。
それから後その界隈では、どんなに親の言うことをきかない子でも、「太宗寺の奪衣婆に食わせるぞ」のひと言でおとなしくなったということである…。
↑「子供を呑んだ」奪衣婆像(画像は借り物です)。
実は先日拝読したとみちゃんさんのブログでアップされた奪衣婆の写真を見、中岡俊哉のこの本を思い出したオイラだったのです。この本の当該エピソードには、その奪衣婆像の顔のアップの写真が挿入されてたんで。どこのお寺の話かまでは憶えてなかったけど、とみちゃんさんのブログで判りました。ありがとうございますm(_ _)m。

そしてこの「世界の怪奇スリラー」には、各部の最後に「霊写真集」というコーナーのページがあった。まだ「心霊」写真集ではない(笑)。
後の二見書房サラブレッドブックスで大大ブレイクするあのネタのプロトタイプと言ってもいいんじゃないかな。
その夏知った「写真に写る霊魂」というのを完全に認識させられたオイラ。そしてその写真たちが物凄く怖かったんです。
それまでに経験したことのなかった、怖くて寝付けない夜というのを初めて味わいました。
まぶたを閉じても、「霊の写った写真」の数々が脳裏に浮かび冴え冴えとしてしまう…。その後は耐性ができてしまったのか、後にも先にも小坊のその頃だけでしたけれども、ね。
成長するにつれ、ナイトキャップのようにそのテの本を布団の中で読みながら寝てしまうようになりました(今も「恐怖映像番組」見ながら寝落ちしちゃうし)。

さあ、この頃、オイラは完全に覚醒いたしました。
なけなしの小遣いをはたいて、シリーズの他の巻を買う。
③「世界のウルトラ怪事件」(中岡俊哉)、④「世界の謎と恐怖」(真樹日佐夫…あの梶原一騎センセイの実弟)の2冊。
残りの①「世界の魔術・妖術」(中岡俊哉)、②「世界のモンスター」(山内重昭)、⑥「世界の円盤ミステリー」(南山宏)はそれを持ってる同級生に借りて読んだ。こういうときのガキンチョの情報交換は素早い!
で「世界の円盤ミステリー」は数年後中坊の時、自分でも購入した。「これは絶対に欲しい」と。オイルショックを経て定価は390円から580円になっていたけど。
↓今日、本棚の奥の奥から引っ張り出してきて撮りました。これだけ自前。
実はシリーズ中、手元に残っているのはこの1冊だけ。
他の3冊はあまりにもズタボロで汚くなり他の本(後述)ともに捨ててしまいました。バカだなぁ。
⑥巻の奥付見ると初版から6年で21版。とんでもないベストセラーだったことが分かる。
でね、値上げ前の初期の版は、表紙の紙の表面が布目みたいに加工された独特のもので、物凄く汚れやすかったの。読んでいるとたちまち手垢で赤茶けた。高級感出したかったのかもしれないが、箱に入っててもこれじゃ意味ないじゃん、と子供心に思ったもんです(捨ててしまう原因にもなったし)。

そしてこの「世界怪奇スリラー全集」の売れ行きに意を強くしたのか秋田書店、これより旧いシリーズをリニューアルしてリリースしてきた。
↓借り物画像です。
「世界怪奇ミステリー全集」全6巻。これ実は、「世界怪奇スリラー全集」より前に刊行されてた「少年少女世界ノンフィクション全集」の装丁を変えた再版(定価も改定してね)。
冒険王や怪奇スリラー全集巻末に旧版の広告が打ってあったからオイラは憶えてる。各巻のタイトルは元のままだし。結構セコい商売もやりよりますな、秋田書店。表紙は格段にカッコよくなったけど。
オイラこれも全巻ではないけど持ってた。①②⑤⑥巻ね。庄司浅水と中岡俊哉2冊ずつ。このテの本、タイトルのバリエーションに限りがあることがよく分かります(爆笑)。
そして子供たちの心をガッチリ掴んだ中岡俊哉、単独でもシリーズ刊行。「秘境シリーズ」全3巻。
↓これも画像は借り物です。
この掲げた2冊、オイラ持ってた(3巻「吸血鬼のふるさと」は未読)。
装丁を写真にして、子供っぽさを排除、しかし過去のシリーズに比べページ数は相当減り、そのくせ挿絵が増えた。つまりは文章量がかなり減ったのね。子供心に割高感を覚えたなー。
ただ、掲載された数少ない(心霊ものではない)写真にはかなり強烈なものが含まれてました。猿とのあいのこかとされるブラジルの少女とか、脚が馬や牛のような獣の形状をしている中国の少女とか…。

以上、ご紹介いたしました秋田書店の「怪奇もの」数点、オイラ三十代まで大事に持ってたんですが、汚いし場所とって邪魔だというカミさんの意見を汲んで捨ててしまいました。
絶版となってしまった現在、ヤフオクでもAmazonでもプレミア価格で流通してます(安くても1冊2,000円台から)。
悔しいなぁ(涙)。
「円盤ミステリー」だけは絶対に捨ててはいけない、と思い今も手元にあります。そしてそれは正解だったと感じてますw。
さすが南山宏、ルポに徹して、中岡俊哉のように進んで嘘はつかないもん(信じやすく騙されやすい、とはよくいわれているようですが)。

秋田書店のこれらの「全集」、ポプラ社の「少年探偵シリーズ」みたいに文庫化してくれないかなぁ。絶対に全巻買いますよー。そういう人、大勢いるはず。

とんでもなく長くなりましたが、最後までお読み下さった奇特な方、本当にありがとうございます。