中長期的な為替相場の決定要因は一言で言うと、「国と国の労働生産性格差」です。労働生産性が高い国の通貨は高くなり、労働生産性の低い国の通貨は弱くなります。労働生産性の高い国は、財政が健全で格付が高い傾向があります。政府セクターの生産性は著しく低いので、政府セクターが肥大していると通貨は弱含みます。
ドル円相場は過去数十年、100-120円のレンジ相場ですが、一見、日本とアメリカの生産性に違いはないのか、と思われがちですが、ぜんぜん違います。日本は相対的に生産性が低いです。
20年前に日本である物が100円で売られていたとした場合、その物は今でも日本で100円で買えたりします。でもアメリカで20年前に1ドルだったものは、今では2ドルでも買えなかったりします。つまり、インフレにより、昔の1ドルと今の1ドルはまったく違うもの、ということとなります。ドル円チャートでは、そのような国力の違いがわかりづらいので注意が必要です。
本来、中央銀行は国と国民の資産を守るために自国通貨を高くする努力をすべきであり、アメリカは本音がどうかはさておき、「強いドルはアメリカの国益」と常に言います。しかし、自国通貨が安くなると株価が上がる(実質的な企業価値は変わらない)ため、自国通貨を安くしたいと考える人々もいます。国民の豊かさは労働生産性と強い関係にあり、通貨は労働生産性と強い関係にあるため、通貨を強くすることは国民の豊かさに直結します。つまり、通貨を安くする(円安)政策は国を売るのと同じであり、あってはならないものです。
ちなみに日本がデフレなのは、①低金利による資源配分の歪みやゾンビ企業の延命、②低金利により可能となる財政赤字の肥大、により経済成長が著しく下押しされ、賃金や物価が伸びないからです。つまり、デフレだから金利を下げる必要があるのではなく、低金利だからデフレになるのです。では、金利を上げれば良いのか、というと、民間にはプラスですが政府セクターには多大なマイナスの影響があるので、実現は政治的に難しそうです。