自愛とけ夏星とけゆく草の家 掌
歌劇「利口な女狐の物語」を録画で観ました。
ヤナーチェク の傑作オペラ。
動物がたくさん登場、
ファンタジックなものでなく、
<人間>、その業といったものを描いたオペラ。
ステファン・ヘアハイムの演出は
その「読み替え」を自在におこなう。
黃亞中(ホァン・ヤーツォン)の達者なこと。
役者かと思うほどで、
校長/蚊/ラパーク(犬)/雄鶏(おんどり)/キツツキをうたう。
軽やかにステップを踏む。
◇アン・デア・ウィーン劇場 オペラ「利口な女狐の物語」
音楽:ヤナーチェク
演出:ステファン・ヘアハイム
<出演>
女狐ビストロウシュカ:メリッサ・プティ
森番:ミラン・ジリャノフ
校長/蚊/ラパーク(犬)/雄鶏(おんどり)/キツツキ:黃亞中(ホァン・ヤーツォン) ほか
合唱:アルノルト・シェーンベルク合唱団
管弦楽:ウィーン交響楽団
指揮:ギエドレ・シュレキーテ
収録:2022年10月20・22日
ウィーン・ミュージアム・クォーター ホールE(オーストリア)
八日はや棚機津女の解かれて
(たなばたつめ)
また七日が来る
そっとため息をつく
湯浴みもすませた
わたくしが手ずから織った新しい衣装はそこに
ほら、化粧(けは)う顔は華やぎ、うつくしい
でも、鏡のまえに座ったまま
こんな逢瀬を繰返すようになったのはいつのことだったか。
待ちきれず、いくたび数えたことか
一年(ひととせ)に一度というのはなんの罪ゆえ
あと三月、
あと一日(ひとひ)のなんと長かったことか
なれど、逢っているひとときのなんという速さ
いま、お逢いしたというのに
時刻(とき)は翼が生え
砂が零れ落ちて
一年(ひととせ)に一度など、堪えられない
どうしていつもいつもお逢いすることができないの
慕わしいあなた
恋しいあなた
ああ、業火に焼かれる
いつのころからか
あなたの眼のなかにある倦怠を
ふたりの双眸(め)のなかにあるものを知ってしまった
かささぎたちはこぞって橋を架けてくれる
わたくしたちは天のものたちからも
地のものたちからも
相愛の<恋人>としてのぞまれている。
どこからもことほがれる<逢瀬>
あまねくおおやけされる<逢瀬>
<逢瀬>の中の<逢瀬>
それがどういうことかおわかりになるかしら
相手の眼のなかに懈怠をみても
続けられる<逢瀬>
否、続けねばならない<逢瀬>
嗚呼、劫火に焼かれる
年ごとに
一年(ひととせ)に一度
逢うことが
堪らない
また、
その日がくる