あざやかによく笑う君は南風 掌
(みなみ)
◆南風(みなみ・なんぷう・みなみかぜ)
夏の季節風。
夏の季語。
通った小学校はまだありますか?
この母校、前橋市立中央小学校(まえばししりつ ちゅうおうしょうがっこう)は、
前橋市にあった公立小学校で、
1957年に前橋市立桃井小学校から分かれて、
59年後の2016年3月に廃校。
廃校というのは山の中のことか、と思っていましたが・・・
まさか母校が!?
(学校は前橋駅北口から徒歩2分のところ)
2024年の7月に医療系大学に引き渡される。
その前にと若い卒業生が企画した<中央小を送る会>、
6月29日(土)に催され、学舎にいってきました。
なにしろうちから5分とかからない、
毎日のように目にする校舎。
中に入れるのも最後となりました。
1階には「思い出の階」プロジェクターから
生徒の活動、運動会などの映像が各教室に流れ、
黒板には板書も!
机や椅子もいかにも使い込んでいて、
天井には扇風機。
「扇風機って、ありましたっけ?」
「もう、暑くなると窓開けでしたよね」などと、
卒業生同志で会話をしたりして♪
高校生くらいから各年代のたくさんの方々が、
校舎を、庭を、見学し、
学び舎を目にやきつけて。
校庭には、セイタカアワダチソウなど夏草が繁茂。
まさに「夏草や・・・夢の跡」・・・
パソコン教室もあって、いまは
再度、前橋市立桃井小学校へ統合した。
橋本國彦「黴」 メゾソプラノ・山本 掌 (youtube.com)
「梅雨」を思い出したのでしょうか、
今日は一日雨。
「黴(かび)」という声楽曲がふさわしい、そんな日。
歌曲としては6分もかかる長い、大曲です。
橋本國彦 作曲
深尾須磨子 詩
youtubeに友人がアップして♪
「黴(かび)」、橋本の音楽としてのとても鮮烈な作品。
とても戦前・1930年頃の曲とは思えません。
歌うと思えば語り、
ささやきとなって、そして叫ぶ。
梅雨時の陰鬱な気分が、
怒りにかわり、
その孤独な感がひしひしと迫ってくる。
骸骨のうごめくそんな幻影さえみえる。
音楽が、詩とあいまって烈しくなる。
「窓かけも 机も 本箱も
憂鬱の 悲哀の 寂しさの
黴だらけになってしまった」
と静謐に曲は閉じてゆきます。
好きな曲です。
メゾソプラノ:山本 掌
ピアノ:中島章恵
この日の高崎兜太句会、ゆとりの30分前に着いた。
なんと兜太先生すでに来てらして、パンなど召し上がっている!?
どうも先生、時間を勘違いしたらしい。
2・3ヵ月前に3句を提出し、
兼題は「事故」が2句、自由句が1句。
選句は3句と問題句を1句。
最高点句は7点が2句あって、その句から合評を始める。
ビニール一枚春空を飛ぶ事故の予感
花の村事件あらかた狐の仕業
とった評は当然のことながら好意的な意見が続出。
事故の「予感」がいい。
兜太評:新鮮でない。
「ビニールが飛ぶ」のも、「狐の仕業」もマンネリ。
この2句、発想が似ている。
「どうしてこんなに点がはいったかわからんな」。
「事故」という兼題で、がんばりすぎたり、きどったり、と
無理をしている、とも指摘。
「フクシマ」「チェルノブイリ」「大震災」などを書いた句は
報告にとまっている。
4点句は
キャッチボールの姉と妹豆の花
評:今は兄弟だけでなく、姉妹キャッチボールをやるのも
めずらしい事でない。
兜太評:あっさりした季語、「豆の花」が効いている。
地味に作っていい。
大地震ありったけの燕よ来い
兜太評:おもいきった言って、実感あり。
「ありったけの燕」がいい。ちょっと言い方が幼い、か。
春愁のすこし大きな馬に乗り
兜太評:自分の春愁をなだめるために馬に乗った。
「乗る」終止形だときつくなる。
「乗り」だ。このぼかすほうがいい。
続いて、すべて問題5点となったこの句。
男ありけり無遅刻無事故宇宙塵
評:なにが言いたいか?
いなくなって宇宙の塵となった?
「宇宙塵」の働きがわからない。
兜太評:男がいた。無遅刻、無事故で、
その男をみていると宇宙塵としかみえない。
哀れを込めて、皮肉った。
皮肉ったが、哀れをこめている。
面白い。自画像か?
「これは肯定的な問題句だな」
はい、これは私の句。
今回は秀逸、秀作、佳作ではなく、
以上の句が兜太選となった。
塚本邦雄創刊歌誌「玲瓏」111 2024年4月
雨夜白座さんにご恵与いただきました。
塚本邦雄『黄金律』の研究座談会に示唆され、
詩想あふれる10首、20首の作品。
「水琴窟」雨夜白座
あらかねの土の午睡(ひるね)に
ほろびざるものをおもほゆ炎ゆる長庚(ゆふづゝ)
埋もれし水琴窟に言問ひて水は天地(あまつち)また駆け廻る
歌誌「玲瓏」は1995年創刊。
発行人は政田岑生から子息で歴史小説家の塚本青史に。
「玲瓏」111
・塚本邦雄作品研究座談会『黄金律』Part2 /
島内景二、尾崎まゆみ、小黒世茂、塚本靑史、林和清(司会)
・塚本邦雄ワンテーマ【綠、その奥の色】 / 乃上あつこ
・塚本邦雄一首評 / 松本茂雄・小林幹也
・時評50/50 / 五十嵐淳雄
・山科真白著『さらさらと永久』書評 / 百瀬みなゑ
・琥珀エッセイ / 山科真白
・塚本短歌 秘密の逕庭 / 五十嵐淳雄
・假託百話 / 塚本靑史
・第三十四回玲瓏賞・綠珠賞発表 玲瓏賞受賞:百瀬みなゑ 綠珠賞:上篠 翔
経過:塚本靑史 銓衡次第:阪森郁代、林和清、尾崎まゆみ、江畑實
オペラグラス、歌会報告、作品評、小書評等