若鮎の腑(わた)のしづかに汚れけり 掌
◆鮎・香魚・年魚・鮎釣解禁・川明き・囮鮎
アユ科の淡水魚。体長20~30センチ。
冬、稚魚は海へ下り、
春、川をさかのぼり、
秋、川を下って中流域の砂利底に卵を産み、
多く一年で生を終えるので、年魚ともいう。
夏の川魚の王である。
夏の季語。
若鮎は春の季語ですが。
朝吹登水子『豊かに生きる』世界文化社 2002年
加藤周一氏は朝吹登水子(あさぶきとみこ)さんを
「二つの文化を生きた人。
日本とフランス、日本語とフランス語」と書く。
作家であり、ボーヴォワール、サガン等の翻訳家の
ペンの先からしたたるゆたかで香りたつエッセイ。
朝吹登水子さんを一度ですが、お見かけした。
1966年、サルトルとボーヴォワールが来日し、
あるシンポジウムで
サルトル、ボーヴォワールが登壇され、
サルトル氏がとうとうと論じ、
それをある学者が通訳をしていたのですが、
「わからなくなった」、と途中で言葉が出なくなって・・・
会場にいた方が、ステージに歩みより
「あの、わたくしが通訳いたしましょうか?」と。
その方が、朝吹登水子さん。
エレガントで、知的で、風格があるたたずまい。
まさにグランダームGrande Dame(大奥様)!
◆目次
第1章 生きることの喜び
豊かに生きるとは
サルトルとボーヴォワールと一緒に過ごした日本旅行
第2章 豊かに生きるその日、その日
レジオン・ドノール勲章
オート・クチュールの学校
香り ほか
第3章 人生の四季
一目惚れの友情
チャリティーコンサート
鎌倉にて ほか
藤原新也「メメント・ヴィータ」双葉社 2025
「自然が狂えば人間も狂う」
と帯文。
<この死の満ちあふれた崩壊時代を生き抜くために必要なのは
「生を想え」という意識である。>と藤原新也。
『メメント・モリ(死を想え)』1983年
対になるこの著、
手に取った時の衝撃はいまもある。
<――死を想え
「ちょっとそこのあんた、顔がないですよ」
本当の死が見えないと、
本当の生も生きられない。>
そこから40年以上経て、
藤原は写真、文筆、絵画、書、音声と
あらゆるメディアで表現し続けて
現在ただいまの藤原新也がある。
そして<現在の世界>を切り取ったのがこの著。
このヴィヴィットな花花!
装画もむろん藤原が描く。
帯を取った画像はこちら
装幀:鈴木成一デザイン室
宮辻政夫『仁左衛門花実抄』法蔵館 2025年
あの仁左衛門丈のあたり役、
どのように役をとらえ、演じているか
13の役をとりあげて、
仁左衛門をくっきりと造型する著作。
◆本の紹介はこちら
現代の名優、片岡仁左衛門の芸の特徴とは。
表現している人物像はどの点が独自なのか。
二枚目から色悪、神となる菅丞相まで、
代表的な13役を通して、芸の核心に迫る。
【目次】
序 章 役への姿勢<浮世又平、加古川本蔵>
第一章 『仮名手本忠臣蔵』(大星由良之助、加古川本蔵)
第二章 『義経千本桜』<渡海屋銀平実は新中納言知盛、啀みの権太>
第三章 関西歌舞伎の衰退と仁左衛門
第四章 『女殺油地獄』<河内屋与兵衛>
第五章 『菅原伝授手習鑑』<菅丞相>
第六章 『廓文章』<藤屋伊左衛門>
第七章 『平家女護島』<俊寛>
第八章 『一谷嫩軍記』<熊谷次郎直実、源義経>
第九章 『桜姫東文章』<釣鐘権助、清玄>
あとがき