北村薫「語り女たち」新潮社 2004年
ひさびさに読み返して、ほっこりしています。
北村さんの広範囲でもうもう膨大な読書から、
ゆったりとあたたかな眼差しから
紡がれる17の短編。
その読後の爽やかさ。
一編ごとに挿まれる謡口早苗さんの画が
雰囲気のあって、幻想的。
女声の朗読で聴いてみたいな、と思ったりして。
装画:謡口早苗
装幀:新潮社装幀室
◆本の紹介はこちら
海辺の街に小部屋を借りて、
潮騒の響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、
訪れた女の話を聞く
――さまざまな女が男に自分の体験を語り始める。
緑の虫を飲みこんだという女、
不眠症の画家の展覧会での出来事、
詩集で結ばれた熱い恋心、
「ラスク様」がいた教室の風景。
水虎の一族との恋愛
……微熱をはらんだその声に聴きいるうちに、
からだごと異空間へ運ばれてしまう、
色とりどりの17話