平野啓一郎、最新の短篇集『富士山』新潮社 2024年刊 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

平野啓一郎『富士山』新潮社 2024年刊

 

 

<あり得たかもしれない人生の中で、
なぜ、この人生だったのか?>
印象的なこの帯。
 
平野啓一郎、10年ぶりの短篇集。
 
5編とも現代で、コロナ、DV、無差別殺人、癌など
 
みずからの体験、あるいは起こりうること、
 
感じたり、考えたり、
 
その選択いかんによって変わってしまうかもしれない私たち。
 
そんな疑問をつきつけられしまう・・・
 
 

 

 

 

 

 

「富士山」 ――結婚を決めた相手のことを、人はどこまで知っているのか。


「息吹」 ――かき氷屋が満席だったという、たったそれだけで、

生きるか死ぬかが決まってしまうのだろうか?


「鏡と自画像」 ――すべてを終らせたいとナイフを手にしたその時、

あの自画像が僕を見つめていた。


「手先が器用」 ――子どもの頃にかけられた、あの一言がなかったら。


「ストレス・リレー」 ――人から人へと感染を繰り返す「ストレス」の連鎖。

それを断ち切った、一人の小さな英雄の物語。