川端康成「眠れる美女」、
オペラになっているのをご存知でしょうか?
長塚京三さんを「名優たちの転機」
関容子さんの聞き書き(「婦人公論」6月号)で拝見し、懐かしくて。
オペラ歌手と役者によるふたり一役。
江口に長塚京三、
宿の女将に原田美枝子。
二人の芝居は日本語で、
うたは英語で歌われ、
ダンスと映像が空間をいろどる舞台。
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オペラ「眠れる美女」を12月10日(土)東京文化会館で観た。
川端康成のあの「眠れる美女」を、
どのようにオペラ化するのか、興味はつきない。
歌唱、ドラマ、ダンス、映像が緊密に織り成す
優れた舞台になっていることに驚嘆。
あの文化会館がタナトスとエロスの密室となった。
江口老人にバリトン。
女性に抱く思い、
そこから過去の女性たちの思い出を表現する。
ソプラノ、メゾソプラノ各2名の女声が眠る女性たちの身体を描き、
「自然」の描写をソプラノがうたう。
歌唱は英語。
その自然はプロジェクションで、紅葉、雪、がうつくしい。
舞台上部でのダンスが素晴らしい。
眠る美女の内奥をあらわにするといった
激しい振り付け。
江口と江口が訪れる眠る女と添い寝する館の女主人、
この寝室に入る前の会話は俳優による芝居。
長塚京三と原田美枝子の台詞が、ことばが、感情を紡ぎだす。
オペラ「眠れる美女」はベルギーで2009年に世界初演。
日本で今回が初演。
東京文化会館55周年、日ベルギー友好150周年記念の公演。
10日、11日の2公演なのが惜しまれるすぐれた舞台。
原作:川端康成
作曲:クリス・デフォート
台本:ギー・カシアス/クリス・デフォート/マリアンヌ・フォン・ケルホーフェン
演奏:パトリック・ダヴァン:指揮
東京藝大シンフォニエッタ
演出:ギー・カシアス
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
老人:オマール・エイブライム(バリトン)
女:カトリン・バルツ(ソプラノ)
老人:長塚京三(俳優)
館の女主人:原田美枝子(俳優)
眠れる美女:伊藤郁女(ダンサー)
眠れる美女たち:原千裕/林よう子/吉村恵/塩崎めぐみ(コーラス)
美術:エンリコ・バニョーリ/アリエン・クレルコ
照明:エンリコ・バニョーリ
映像:アリエン・クレルコ
衣裳:ティム・ファン・シュテーンベルゲン
舞台監督:菅原多敢弘
共同制作:LOD(ベルギー)
「眠れる美女」の紹介サイト ステージ写真もたくさん
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