年末のお愉しみ、昨年、202312月31日
ヨハン・シュトラウスの人気オペレッタ「こうもり Die Fledermaus」。
演出はバリー・コスキー、オペレッタを得意としています。
もうもう、極上の、はじけっぷり♪
歌も、踊りも、むろん演技も、
こんなに楽しい舞台もなかなかあるものではありません。
演出ではジェンダー、ウィーン、ブルジョアへの風刺とか。
オルロフスキー公爵はドラッグ・クイーン(?)でしょうか。
本来はメゾソプラノのズボン役ですが、
今回はカウンターテナー。
異彩を放って存在感たっぷり。
そうそう、この舞踏会のお客さまたちも
女性がスパンコールの髭をつけたり、
なにしろ極彩色、派手派手、キラキラ。
刑務所長フランク、一幕では禿頭の厳格そうな官服、
二幕では鬘をつけ、
三幕ではストリッパーの様なスパンコールの下着姿にハイヒール。
アイゼンシュタインも燕尾服から
三幕では露出度の高いスパンコールのトランクスに頭に被り物。
フロッシュにいたってはなんと6人!
通常の 「語り1人」、
「タップダンス&ボディパーカッション1人」抜群にうまい!
と 「4人のダンサー」 の6人
舞台美術、一幕の街並みは書割でしょうか。
その室内のベットや椅子が
あざやかな紫やピンクを使い、しかもシック。
二幕のオルロフスキーのパーティ会場はお客様たちを引き立てるように
盛り上がってきたときには
シャンデリアが何基も吊り下げられて。
三幕、刑務所長フランクの部屋は工事現場の「足場」のような鉄骨。
そこにパーティーのイブニングドレスや
ストリッパーのようなラメラメ姿のフランクがいるのは
なかなかシュール(笑)。
歌手たちはもうもう達者、
その歌、その身のこなし、いうことありません。
ロザリンデのダムラウが素晴らしい! 艶やかで、華やか、その歌も演技もさすが。
アデーレのコンラディ、小間使いの姿がかわいい。
アイゼンシュタインはバリトンのニグルで。なんて、軽妙なこと。
フランクのヴィンクラーには驚愕!?
一幕のお堅い刑務所長らしい演技と身なり、二幕のヘンなフランス語、三幕のストリッパー(?)
オルロフスキー公爵にカウンターテノール(通常はmez)のワッツ。
そうでした、舞踏会のメンバーもどちらが男性か女性かわからないようになっていました。
アルフレードのパニカーは伸びのある声。
テノールの有名どころのアリアの引用もたっぷりで、歌で女性をめろめろに。
ファルケ博士のブリュックはこのオペレッタのなかで渋く、落ち着きがあってよかった。
指揮は音楽総監督のユロフスキ。
いいんです、この方、
序曲から軽快なこと、ヨハン・シュトラウスの音楽に引き込まれて♪
オフィシャル動画
<出 演>
アイゼンシュタイン:ゲオルク・ニグル [Georg Nigl]
ロザリンデ:ディアナ・ダムラウ [Diana Damrau]
フランク:マルティン・ヴィンクラー [Martin Winkler]
オルロフスキー公爵:アンドリュー・ワッツ [Andrew Watts]
アルフレード:ショーン・パニカー [Sean Panikkar]
ファルケ博士:マルクス・ブリュック [Markus Brück]
アデーレ:カタリナ・コンラディ [Katharina Konradi]
フロッシュ (台詞のみ):今回6人
<合 唱> バイエルン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> バイエルン国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> ウラディーミル・ユロフスキ [Vladimir Jurowski]
<演 出> バリー・コスキー [Barrie Kosky]
収録:2023年12月28・31日 バイエルン国立歌劇場(ドイツ)