大嶋義実『演奏家が語る音楽の哲学』講談社 2020年刊
大嶋義実氏はフルーティスト&京都芸大の教授。
「音楽は演奏家を抜きに現実化しない。
人間によってしか血の通った<音楽>を、
楽譜の向こう側にある<音楽>を蘇らせることはできないのである。」
眼に見えず、
触れることのできない<音>、
音符・楽譜の奥から立ち上がる音楽、
その<音楽もの>との交歓について語る。
笛は息によって鳴る楽器、
<息>は<生き>
この人間の生命の根源にある<息>へのみごとな洞察。
この書は演奏という視点から見た音楽論で、
一瞬一瞬に現れ、消えてゆく<音>への
演奏をつづけている演奏家ならではの
深い目に見えないもの<音楽>を観察し、
その背後にある意味や本質を見抜いてゆく。
ときおり出てくる関西人ならでは(?)の
ご自身へのツッコミもなかなかたのしい♪
◆目次
第一章 音を奏でる人類
第二章 「音楽そのもの」との交歓
第三章 音楽に表れるのは個性か普遍性か
第四章 音符の奥に立ち上がる音楽
第五章 響かせること、響きを合わせること
◆大嶋義実(おおしまよしみ) プロフィール
1958年生まれ。1981年京都市立芸術大学卒業後、
同年ウィーン国立音楽大学入学、1984年同校卒業。
プラハ放送交響楽団首席フルート奏者、
群馬交響楽団第一フルート奏者を経て、
現在京都市立芸術大学・大学院教授、副学長。アジア・フルート連盟日本本部長。
ロンドン、ウィーン、プラハ、フィレンツェ、ローマなど
海外での多くの公演&各地の主要音楽祭に招聘されている。
モーツァルト・フルート四重奏曲全曲&協奏曲第一番を
はじめリリースしたCD多数。
著書に『音楽力が高まる17の「なに?」』(共同音楽出版社)、
楽譜解説に『マルチヌー フルートとピアノのためのソナタH306』
『シュールホフ フルートとピアノのためのソナタ』(共に音楽之友社)がある。