沢木耕太郎『天路の旅人』2022年 新潮社刊
壮絶なその旅、
その西川一三(にしかわ かずみ 1918-2008)を描き出す。
「第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで
「密偵」として潜入した若者・西川一三。
敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、
未知なる世界への歩みを止められなかった。」と帯にある。
沢木耕太郎は<その果てしない旅と人生を、
彼の著作と一年間の徹底的なインタビューをもとに>
まさに言葉により<旅>を彫琢してゆく。
西川一三著『秘境 西域八年の潜行』中公文庫
その旅の全貌は見返しにある地図に克明に記され、
あまりの広大さに圧倒される!
西川の新しい土地への衝動といえる熱情、
なんども死線をくぐり、
困難を乗り越える喜びが、
まっすぐに突き刺さる。
奇しくも西川氏が旅立った2月7日は
チベット暦の元旦。
ノンフィクションはほとんど読まないのですが、
この『天路の旅人』、圧巻!