遠田潤子『邂逅(わくらば)の滝』光文社 2023年9月刊
「紀州の山間の小さな町に紅滝(くれたき)という美しい滝がある。
その滝には運命の恋と信じた相手に裏切られた姫の、哀しい伝説があった。
だが、彼女と男の、逃れることのできない、さだめの、のろいの恋は、
そんな生やさしいものではなかった。
現代から、大正、江戸、安土桃山、そして南北朝へと、
いびつな螺旋を描きながら、二人の恋は繰り返す。」と帯に。
現代から南北朝まで時代に
ねじれる螺旋のように織りなされる連作短編。
この滝を巡る男と女の物語が
何処までも精緻に、
その非情ともいえるまなざしのなかに、描き出される。
その筆力は圧倒的。
装幀:鈴木久美
写真:TETUO WADA
飛沫がふりかかるような<滝>の写真、
迫力が凄まじい。
そして、美しい本です。
◆目次