高樹のぶ子『小説小野小町 百夜』日本経済新聞社 2023年刊
先には『業平』、そしてこの『百夜』。
高樹のぶ子の渾身の小説、<小野小町>は
<平安時代の「六歌仙」のひとり、優れた歌の才に加えて、
絶世の美女としても数々の伝説が残る小野小町の一代記>と紹介されて。
小野小町の伝説はその華麗な恋、
それゆえの零落譚が
能・観阿弥作「卒塔婆小町」や「卒塔婆小町」に描かれる。
「――小町はなぜこのような姿に描かれ後世に伝えられねばならなかったのか。
古今和歌集と後撰集に残された数少ない
小野小町の実作とされる和歌をより深く翫味すれば、
そこに隠された本当の小町の姿が立ち現れてくる。」と、高樹さん。
日本画家・大野俊明氏のカラー挿絵がうつくしく
まさに「みやび」の世界。
【目次】
<前篇 花の色は>
高麗笛 一夜契り 夢と知りせば あはれてふ
六道の辻 月と雲 慈雨 算賀の菊 花ひとひら......など
<後篇 我が身世にふる>
うつろふもの 鄙の月 熾火 遺 戒 梅花 春霞 海松布
懸想文 誘ふ水 母恋ひ 浦こぐ舟 慈恩院 百の文......など