詩集『月に吠える』背にタイトル
萩原朔太郎第一詩集『月に吠える』1917年刊
限定500部で、200部を贈呈し、
300部が一般へとのこと。
「序」は朔太郎の詩への想いが切々と語られて。
「私は私自身の陰鬱な影を、
月夜の地上に釘づけしてしまいたい。
影が永久に私のあとを追ってこないように」
この突き刺さってくる言葉!
「天景」、朔太郎の四輪馬車は
「空を、海辺を、田園を、都会を自在に、
また、静かに、走れと作者は夢想している」と
中村稔は読みます(『萩原朔太郎論』より)。
「天景」
しづかにきしれ四輪馬車、
ほのかに海はあかるみて、
麥は遠きにながれたり、
しづかにきしれ四輪馬車。
ひかる魚鳥の天景を、
また窓青き建築を、
しづかにきしれ四輪馬車。

